拍手お礼ログ

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カラン。黒子の手の中の缶が軽やかな音を立てる。
パッケージの写真はごくありふれた味噌ラーメン。それは、どうしても口の中の甘いものと結び付かない。
「…私、駄目かもしれないです」
というより嘔吐く寸前だった。なのに隣の黄瀬は同じものを口にしているとは思えないほどけろりとしている。
「そう?俺意外と平気。確かに味噌ラーメンって思うとアレだけど、コーヒーかなんかの飴だと思えば食べられるっス」
「…わざわざコーヒーを連想させなきゃいけないということ自体が嫌です」
「まぁ、確かに。…じゃあ引き取ろうか」
黄瀬は笑って身を屈める。頬に添えられた手に従って顔を上げれば唇が重なった。
「………なぁ」
傍らから地を這うような声がする。
飴の移動を終えた二人は振り返った。
「人前でそういうことすんの、やめてくんねぇ?」
むすっと文句を言う青峰を、黄瀬と黒子はきょとんと見返した。
「青峰っちだし」
「青峰くんだし」
綺麗に声が重なる。
「いいかと思って」
「よくねぇよ!」
怒鳴る青峰を意に介さず、黒子はまだ違和感の残る口元に手をやった。
「それに、お土産をくれた人の前でそれを吐き出すなんて失礼なこと出来ないです」
「いらん気遣いすんな!遠慮なく吐き出せ!」


味噌ラーメンドロップス 315円


fin 2012/11/23
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