■おかしなノリの話

□あかしやきボックス 2
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前提知識あかしやきボックス

基本的には注意深い方だと思う。けれど黒子だって人間だ。ミスをすることはある。
ただ今回のミスは、ごめんなさいだけで済ますには少し罪が重かった。
「どうしてプロテインを10sも発注した?テツナは筋肉フェチだったかな?」
「いえ…。すみません…」
赤司と二人きりの部室で、黒子は拷問のような時を過ごしていた。あくまでも穏やかな口調が、怖い。
「そんなに怯えなくて良い。僕がお前に手荒な真似をするはずがないだろう?」
すでにこの空間が立派な暴力だ。そう思いはしたが、賢明な黒子は口をつぐんだ。
「気は進まないが罰を与える。いいね、テツナ?」
気が進まないならやめてください。文句を呑み込み、止めたい気持ちをぐっとこらえ、黒子はあのあかしやきボックスから赤司の手が出てくるのを静かに見守った。
「…これは、今日の部活は荒れそうだ」
一足先に内容を確認した赤司は、呟いて紙をひっくり返してみせた。そこに書かれていたのは。
―――猫耳。
震え上がる黒子に、赤司はにっこりと笑いかけた。
「テツニャ」


未来を予見したわけではないのだろうが、確かにその日の部活は荒れた。
「写メは厳禁だ。その目に焼きつけろ」
赤司と共に猫耳付きの黒子が体育館に現れると、場は騒然となった。
誰もが、なんとかその姿を形に残そうと四苦八苦する。だが、厳格なキャプテンはそれを許さなかった。
好奇の目に晒された黒子は、おずおずと赤司の服の裾を引っ張った。
「赤司くん、恥ずかしいです…」
「今日だけ辛抱だ」
「赤司くん、皆さん練習にならないです」
「奴等は後であかしやきボックスだ」
「赤司くん、黄瀬くんが倒れました」
「捨ておけ」


fin 2013/2/16

※プロテインはスタッフが美味しく頂きました。

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