黄瀬×テツナ(中学時代)

□その手で触れて
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黄瀬涼太。
顔良し、スタイル良し、運動神経良し、頭もまぁ良し、性格は社交的。
当然のように、彼は人々の中心にいた。誰もが彼を好きになり、彼の傍に居たがった。
そんな人を、今自分は独り占めしている。それどころか、彼は顔を赤らめ、緊張で固まった声で告げた。
「黒子っちが好きです!俺と付き合ってください!」


その手で触れて


片手を差し出してお辞儀をするなんて、彼は意外と古風な告白をする、とか黒子はぼんやり考えていた。
あまりにも意外過ぎて、まだ現実に頭がついていけなかった。
黄瀬と黒子はバスケ部の選手とマネージャー兼クラスメイト、その程度の関係だと思っていた。確かに黒子にとって黄瀬は、学内で一番親しい相手だった。
しかし黄瀬はそうではない。
学内学外問わずいつだって華やかな女の子に囲まれているのに、どうして存在感のない自分などを好きだと言うのか。
返事のできない黒子をどう思ったのか、黄瀬の勢いは急激に萎んだ。
「と、友達からでもいいです…」
「…もう既に友達だと思いますが」
思わず普通に返してしまうと、黄瀬は更にへこんだ。
もう、お辞儀なのかうなだれているのか判別できない。
黒子は小さく笑って、黄瀬の手を取った。
「よろしくお願いします」
弾かれたように黄瀬が顔を上げる。
それは今まで見たことないほど間抜けな顔だった。
「―――マジで?」
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