*短編*
□メリクリ
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「なぁ幸村、クリスマスって、キリストの誕生日を祝うんじゃろ?」
12月25日、情事を終えたベッドの上、空を見上げながら仁王が突然そんな事を言い出した。
「そんだね」
もともと仁王は読めない奴、軽く相槌を打つように返事してやると、また不思議な事を話し出した
「でも俺、キリストの人やなかし、祝わんでよかね?」
「うん、そうなるね」
なにを言いたいのだろう?まぁとりあえず最後まで聞いてやろう。
「幸村、キリストの人?」
「違うよ」
案外俺は、このなんでもない不毛な会話が好きだったりする。
「じゃ、お祝いしてる人、キリストの人?」
「さぁ、どうかな?」
俺がそう答えると、仁王は少し考えたフリをする。
「でも、ほとんどキリストの人じゃないと思うよ?」
「ふーん…?」
あれ?話し終わっちゃったかな?
「俺、誕生日は祝わんけど、ご馳走は食べたい…かも。」
あー、なるほど。
「なんか食べに行く?とはいえ、今からじゃ遅いかな」
「でも今はいらん」
ん?どうゆう事だ?
「ゆっきー、寒い、あっためてー?」
と言って、冷えた身体を俺にすり寄せて来る仁王 。
いや、これシャレになんないほど冷たいんだけど、ほんとに。
「冷た…全く、風邪引くよ?」
冷えてしまった体を暖めるように抱きしめ仁王の額にキスを落とす。
「風邪引いたら幸村が看病してくれるじゃろ?」
小首をかしげながら微笑む仁王。
ちくしょう、可愛いじゃないか
「キリストの誕生日、興味無いけど、毎年幸村が居てくれるって約束してくれんなら、悪くなかね?」
「ふふ、何可愛い事言っちゃってんの?襲われたい?」
「聖なるキリスト様の誕生日にそんなことしてええの?」
「さぁ、だめなんじゃない?神の教えとやらに背いてるね。」
「神の子なんに?」
「神の子だから余計に?かな」
「不順異性行為とかいうやつ?」
「ばか、異性じゃないでしょ。それともなに?女になってくれんの?仁王」
「幸村と結婚できるんやったら女でも悪くなかね」
「へ〜?」
「幸せにしてくれるん?」
仁王は少しはにかみながら俺に聞いてくる
「…ふふ、神に誓って幸せにしてみせるよ。」
すると仁王は満足そうに微笑み
「ふふ、やっぱゆき大好き」
「うん、ありがと。」
仁王はとことん不思議て読めない子だけど、こうやって素直に気持ちを伝えてくれるとこはほんとに愛しい。
「一生愛すよ仁王、メリークリスマス」
「メリークリスマス、幸村」
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