*短編*

□Winter warm proposal
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12月24日、クリスマスイヴ

仁王は真っ白な病室で一人、窓の外を見つめていた。
時刻は23時57分、クリスマスイヴからクリスマスに変わる数分前だった

「来ない…じゃろね…。まぁ…来るなって言ったようなもんじゃ、来るわけなかね…」

仁王の言葉は病室の中で消えた

「真田…会いたか…」

…すると

「全く、いつもそうやって素直でいられんのか貴様は」

病室の扉の前には、真っ赤なバラの花束を抱えた恋人、真田が立っていた

「真田っ…なして……?」

仁王が目を丸くして真田に問いかけると

「貴様が会いたくなくとも、俺は会いたい。」

そう言うと真田は微笑み、仁王の頬に手を添えた

「弱った姿を見せたくないだと?ふざけるな。
どんな姿であろうと俺はお前を嫌いにはなりはせんし、お前には俺の事で我慢をしてもらいたくもない。
弱ってる時にこそ俺に甘えろ、じゃないとお前は崩れてしまうだろ、俺に頼れ雅治!
…言っただろ、愛していると。
誓っただろ、ずっと一緒だと。
もう少し甘えてくれ、雅治。俺はもっとお前を支えていきたいし、愛していきたい。
俺はそんなに頼りないか?」

仁王は涙を流しながら首を横にふる

「ごめ…真田、好き….好きっ、愛しとぉ…!」

仁王は真田に抱きつき声をあげて涙を流し、真田は仁王をしっかり抱きとめ頭を撫でる

「ふっ…いつの間にこんなに泣き虫になったんだかな。」

「っ…うるさい、馬鹿」

真田は仁王の顔を両手で包みキスをする

「退院したら、クリスマスの仕切り直しをしよう。」

「ん、約束な?」

「ああ、約束だ。」


窓の外では雪が舞っていた…


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