*短編*
□幸村の惚気
1ページ/1ページ
高校に上がって、仁王は一人暮らし生活になった。
理由は多々あるけど、最も大きな理由は家族との関係だろう。
仁王自身は、家族が南の方に帰るけど、自分はこのまま神奈川の高校に通って卒業したい、とか言ってるけど、本当のとこどうだかね?
ま、実際家族と上手くいってない事は知ってた。(あいつが傷付くのが嫌で、言わなかったけど。)
そしてそんな仁王と俺、神の子こと幸村精市は、中学二年の時から付き合っていて、今日は仁王の誕生日にして、俺たちが付き合いはじめて二年目の記念日だったりするわけで
「仁王、プレゼント欲しい?」
とか聞いてみる
「…え?なにそれ。普通それ本人に聞かんよね?しかもこの状況で」
ふふ、たしかに仁王の言ってることはもっともかもね。
そして仁王の言ったこの状況。
でも仕方ないじゃん、お風呂上がりの仁王ががあまりにもエロすぎて、しかもいつも下で縛ってる髪は結構上の方でポニーテールだし、シャンプーの匂いとかほんとなに?誘ってるとしか考えられないじゃん?だから、一瞬にして欲情した俺は、本能の従うままに仁王の手を引いて抱き寄せ、そのまま(自分で言うのもアレだけど)なかなか濃厚な、でもって刺激的なキスを堪能した挙句、ベッドの上に組み敷いちゃうのって、男なら誰しもやっちゃうじゃん。
相手が惚れてる奴なら尚更。
てか、ほんと…
「良い眺めだね。」
「答えになっとらん」
そう言って不満そうに目を背ける仁王もなかなか…いや、かなりそそられる。
「啼かせたい。」
「こわっ!やめてくれんそういうの、自分の世界はいらんとって」
ほんと仁王って存在が媚薬だよね、どこまで俺を惑わせば気が済むんだろ?
ぁ、てかそんなことより…
「プレゼント、欲しい?」
「またそこ!?」
あー可愛い。俺そろそろ本気でやばいな、押し倒したままの状況、ほんと生殺しだよね。
「ゆき、プレゼント、いらんよ?」
え?いらないの?何言ってんの?俺からのプレゼントはいらないって?なんなの?お仕置きされたいの?
「俺はゆきが居ってくれればそれだけでよか」
と言って抱きついてくる仁王。
何だよそれ、可愛すぎるでしょ。
この天然タラシ。でもそんなとこも可愛いから好きだよ。
「負けた、惨敗…」
俺がそう言えば、仁王はわからないという顔をして俺の顔を覗き込んでくる。
「何でもないよ。それより…」
…このまま食べちゃっていい?」
って耳元で囁いたら、仁王は顔を真っ赤にさせて、恥ずかしそうに頷くんだ。
(どう?可愛いだろ。)
.