*短編*

□幸村の惚気
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高校に上がって、仁王は一人暮らし生活になった。

理由は多々あるけど、最も大きな理由は家族との関係だろう。
仁王自身は、家族が南の方に帰るけど、自分はこのまま神奈川の高校に通って卒業したい、とか言ってるけど、本当のとこどうだかね?
ま、実際家族と上手くいってない事は知ってた。(あいつが傷付くのが嫌で、言わなかったけど。)
そしてそんな仁王と俺、神の子こと幸村精市は、中学二年の時から付き合っていて、今日は仁王の誕生日にして、俺たちが付き合いはじめて二年目の記念日だったりするわけで

「仁王、プレゼント欲しい?」

とか聞いてみる

「…え?なにそれ。普通それ本人に聞かんよね?しかもこの状況で」

ふふ、たしかに仁王の言ってることはもっともかもね。

そして仁王の言ったこの状況。
でも仕方ないじゃん、お風呂上がりの仁王ががあまりにもエロすぎて、しかもいつも下で縛ってる髪は結構上の方でポニーテールだし、シャンプーの匂いとかほんとなに?誘ってるとしか考えられないじゃん?だから、一瞬にして欲情した俺は、本能の従うままに仁王の手を引いて抱き寄せ、そのまま(自分で言うのもアレだけど)なかなか濃厚な、でもって刺激的なキスを堪能した挙句、ベッドの上に組み敷いちゃうのって、男なら誰しもやっちゃうじゃん。
相手が惚れてる奴なら尚更。

てか、ほんと…

「良い眺めだね。」

「答えになっとらん」

そう言って不満そうに目を背ける仁王もなかなか…いや、かなりそそられる。

「啼かせたい。」

「こわっ!やめてくれんそういうの、自分の世界はいらんとって」

ほんと仁王って存在が媚薬だよね、どこまで俺を惑わせば気が済むんだろ?
ぁ、てかそんなことより…

「プレゼント、欲しい?」

「またそこ!?」

あー可愛い。俺そろそろ本気でやばいな、押し倒したままの状況、ほんと生殺しだよね。

「ゆき、プレゼント、いらんよ?」

え?いらないの?何言ってんの?俺からのプレゼントはいらないって?なんなの?お仕置きされたいの?

「俺はゆきが居ってくれればそれだけでよか」

と言って抱きついてくる仁王。
何だよそれ、可愛すぎるでしょ。
この天然タラシ。でもそんなとこも可愛いから好きだよ。

「負けた、惨敗…」

俺がそう言えば、仁王はわからないという顔をして俺の顔を覗き込んでくる。

「何でもないよ。それより…」

…このまま食べちゃっていい?」


って耳元で囁いたら、仁王は顔を真っ赤にさせて、恥ずかしそうに頷くんだ。


(どう?可愛いだろ。)


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