*短編*
□Winter angel
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「お姉ちゃん、天使様?」
突然、小さな五歳くらいの女の子が話し掛けてきた
「天使様…」
話しかけられた青年は、女の子に目線を合わせるようにしゃがみ込む
「銀髪で、目が綺麗で、お肌真っ白で、可愛い♪」
そう言われた銀髪の青年は少し驚いた表情をしたのちに微笑み、女の子に優しく語りかけた
「うち、なれんかったんよ、天使様に…次は、なれるかの?」
「うんっ!絶対なれる!お姉ちゃん可愛いもん♪」
女の子は嬉しそうに微笑み、それにつられ銀髪の青年も微笑んだ
「お姉ちゃん、天使様になれるように頑張ってね♪ばいばーい!」
女の子が走り去り、銀髪の青年、そう、仁王が立ち上がる
「天使様ねぇ」
するとすぐそばで今の一部始終を見ていた肌の黒い青年、ジャッカルが仁王に話しかける
「お前いつからお姉ちゃんになったんだよ」
「さっき?」
「馬鹿、しかも天使って」
呆れたように溜息をつき
「天使、天使って、銀髪なんかの?」
「さぁな」
「なんよ、冷たかね」
仁王は拗ねて歩き出すが途端フラつき
「おっと…大丈夫か?」
ジャッカルが腕を引き、体ごと自分の方へ引き寄せる
「立ちくらみ…平気」
「たく、そんなんだから幸村に虚弱体質なんて馬鹿にされんだよ」
「ごめんしゃい、あんがと」
仁王は顔だけジャッカルの方へ向け軽く触れるだけのキスをする
「…場所考えろよ」
「大丈夫、誰も見てなか」
「そうゆう問題じゃ…」
「ジャッカル、つづき、早よ行こ♪」
「…はぁ、分かったよ」
仁王は微笑み、ジャッカルは仁王の手をとり、二人は街の人ごみの中へと紛れていった。
「なぁ、俺なれるかの?」
「俺にとってはすでに天使なんだけど?」
「っ…馬鹿」
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