*短編*

□大切な子
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「仁王、大丈夫かい?」

「ケホ…まだ、平気…」

「いやアウトだよ、全く。 部室で休んでおいで?」

「うん…、すまん…」

フラフラと部室へ向かう仁王を見送りながら一年の指導に戻る幸村


一方仁王は水飲み場に手をつき辛そうに息をしていた

「ケホ…やばい、頭ぐるぐるしちょる」

早く部室へ行こうと足を踏み出した途端

グラッ…

「っ……」

体制を崩し、地面に崩れる瞬間

ギュッ

「大丈夫か、仁王」

「さんぼ…」

「駄目、みたいだな」

と言って仁王を抱き上げる、所謂お姫様抱っこの形で

「だから今日は無理するなと言っただろ」

「ん、…ごめ…」

相当辛いようで、柳の腕に抱えられながらぐったりしている

「寒くないか?」

部室に連れてゆき、ソファー(R専用)に寝かせる

「…さんぼ…離れんで、いや…」

涙目で訴えかけてくる仁王に負け、柳はソファーに腰掛け、仁王を毛布で包み、膝に乗せ抱きしめた

「大丈夫か?仁王」

「ん…」

仁王は嬉しそうに微笑み小さく柳にしがみついた

「全く、お前はこの時期体調を崩しやすいんだからもう少し気をつけろ」

自分の腕のなかでスヤスヤ眠る仁王を優しく撫でながら吐き

「あまり心配掛けさせるな…」

ひたいに小さくキスを落とした


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