*短編*

□ありのままの君が好き
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第一弾.幸村と仁王


放課後は雨が降った
よって部活は中止、だが仁王は残念ながら傘を忘れたので部室で雨宿りをすることにした

だがそれがまずかった



雨宿りのため部室に避難してきた仁王は後悔していた
その理由は、仁王が内心一番苦手としているテニス部部長である幸村が、部室にいたからだ

二人は、とくに話をするわけでも無く、部室は沈黙

なんともいえない空気が流れていた

その空気に耐えきれず、仁王は仕方なく帰ろうと立ち上がった
だがその時、「帰るの?」と急に声を掛けられ、返事をする前に幸村は

「傘、ないんでしょ?」

図星をつかれ、なんと答えようと考えていると

「仁王ってさ、なんでそんなに俺達に懐かないの」


"懐かない"

そう思われているのか

「ふふ、なんか喋りなよ、別に責めてるわけじゃないよ」

こいつは苦手だ、何を考えているかわからない
怖い

「っ…懐く、とか…懐かんとか、そんなん関係なか」

「へぇ、仁王の声、初めてまともに聞いたかも」

ほらやっぱり、こいつは何を考えているかわからない、危険だ

「俺さ、好きだよ、お前のこと」

"スキ"

こいつは何を言っている
俺は何をこんなに動揺している
口が乾く、頭が回らない、なにか…言わないと

「帰る」

結局一言、他に言葉が見つからない

心臓がうるさい、病気だろうか

「仁王」

ドアノブに手を掛けた俺に再びあいつは話しかけてきた

「いつかお前を笑わせてやるから、覚悟しときな」

そう言って、あいつは俺に笑いかける


ああ、俺はこいつが苦手だ


(あいつを笑わせたい)(絶対綺麗だ)(俺は好きだな)(きっと幸せにしてやるから)


−−−

幸村→→←?仁王

みたいな?

なんのこっちゃ

.
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