*長編*

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お客は王様(跡部×雅)

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柳生が、診察があるためと帰った約二時間後、雅の元に新たな客が訪れていた。

「遅くなった」

「お待ちしてたでありんす。よく来てくだ…んっ…」

まだ挨拶し終える前に口を塞がれ、濃厚なキスを交わす

「会えて良かったぜ」

そう言って雅をきつく抱きしめるのは

「あんがと、跡部さん」

この町の武士という武士を従えてる棟梁、跡部景吾だった

「ほんとは、日にちが変わった時にすぐ駆け付けてやりたかったんだが、夜回りがな…」

「おん、知っとる。忙しいんに、来てくれてあんがと」

そう言って雅は跡部に寄り添った

「折角お前が生まれた日だ、愛に来ねぇわけねぇだろ」

跡部は雅をさらにきつく抱きしめた

「雅、お前に渡すもんがある、手を出せ」

「?」

言われた通りに手を差し出すと、跡部は懐から綺麗な布に包まれた箱を出し、雅の手に置いた

「これは?」

「開いてみろ」

布をどかすと、中には綺麗な硝子細工の箱が入っていた

「すごい…綺麗…」

「江戸の硝子細工の店で見つけてな、小物入れだそうだ」

「あんがと…大事に使うぜよ!」

目を輝かせ、子供のように喜ぶ雅を目撃し、跡部は少し目を丸くしながらも満足そうにし

「ふっ、あぁ。また欲しかったら言え、いくらでも持ってきてやる」

跡部は微笑み、雅に触れるだけの口づけをした


(まさかあんなに喜ぶとはな、ずっとそうやって笑ってろよ?雅)


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