*長編*
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突然の来訪者(柳生と雅)
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明け方三時頃、雅は亜久津を見送り自室にて休んでいた
「もう朝の五時じゃっていうんに、流石に暗かね…」
「そうですね」
独り言を吐いたつもりでいた雅は、自分の声に返答が返ってきたことに驚き、襖の方へ目を向けた
するとそこには
「…柳生、先生?」
「おはようございます、雅さん」
雅の専門医である柳生が立っていた
「今日…診察やったっけ?」
「いいえ、ちょっと私用で」
と言いにこやかに微笑む柳生
「?」
対して雅は首を傾げるばかり
「ふふ、先日の診察が終わった帰り際、忍足君に言われまして」
「なにを?」
「"来週は雅の誕生日やで"と。」
そう言うと雅の前に跪き、柳生は雅の手の上に小包を置く
「誕生日おめでとうございます、雅さん」
「え…ありがと、先生」
雅は驚きながらもお礼をしっかり伝え
「侑士がまた余計なこと吹き込んで…気を使わせてしまってすんません、先生」
「いえいえ、忍足君に言われなくても来るつもりでいましたから」
「ふふ…先生、ほんまにあんがと」
そう言って雅は、柳生に甘えるように抱きついた
(これからの貴女の人生が、辛く厳しくとも、私はいつまでも貴女のことを見守り続けますよ。)
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