*長編*
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「今町では、少々厄介なものが出回っているようでして」
「厄介な…もの?」
雅は、わからない、というように首を傾げ
「はい。阿片、というものなんですが」
「ア…ヘン…?」
雅は更に分からないらしく、眉間にシワを寄せる
「そうですね、一言では説明できないのですが、中毒性の強い薬、でしょうか」
「体に良くないん?」
不安そうに訪ね
「はい。 最初は気持ち的に楽になり、気持ちが良く感じるのですが、薬が切れると、幻覚が見えたり、不安に陥ったりして、再び薬を求めてしまうそうです。」
雅は言葉が出てこないようで、怯えたように柳生を見つめる
「手を出しさえしなければ大丈夫です。」
「そんな、恐ろしいものが…」
そういいうつむく雅に柳生は優しく背中を撫でる
「幸村君、そして跡部さんは、その対応に追われています」
雅は顔を上げ、話を促す
「幸村君は阿片の調査をしています、出どころや、阿片についての詳しい詳細を」
「詳しい詳細?」
興味深そうに聞く
「はい、身体に及ぼす影響などを、です。」
"この調査については柳さんも手伝っているみたいで"と付け足し
「参謀長さん?」
「はい。」
「そう、…で、跡部さんは?」
「はい、跡部さんは毎夜警備をしています、この阿片騒ぎに紛れて、人斬りも増えているみたいで、そちらの対応にも追われてるみたいです」
「人斬り…」
その言葉に過剰反応し、カタカタと体を震わせる
「! 雅さん、大丈夫です。貴女の事を探してるわけじゃない、怯えなくて、大丈夫ですよ。 忍足君だっているんですから」
柳生は慌てて雅を落ち着ける
「…はい」
「落ち着いたら此処へ足を運ぶようにと、お二人には伝えてあります」
"お二人もとても会いたがっていましたよ?"と柳生は微笑み、それにつられ、雅も微笑みを浮かべた
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