*長編*
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幸村視点
「やぁ、雅。 今日も綺麗だね」
と言い、微笑を浮かべながら中へ入る
「お久しぶりでありんす。」
雅はいつも通り儚く微笑み
「中々会えないもんだから、会いたかったでありんす」
「台本通りの挨拶ありがとう、100点だよ」
俺は皮肉を言いながら雅の前に膝をつき
「俺はそんな言葉をもらうために、わざわざおまえにあいにこないよ? 雅」
こう言うと、雅は泣きそうに笑う
こんな顔、させたい訳じゃないのに、ごめんね
「全く、うちが頑張って、不得意な廓詞使うて話してるんに、なしてうちのお客さんらは、こうもわがままで、優しいんじゃろ…」
困ったように笑みを浮かべるお前を、今すぐ連れ去ってしまいたい
「お前が綺麗すぎるからだよ」
雅の頬に手を添える
「会いたかったよ、本当に。 会いに来れなくて、ごめんね?」
そして優しくキスをし
「阿保、別にお前になんか会いたいなんぞ思っとらんわ」
頬を赤く染めながら訴える姿は本当にかわいい
「ふふ、そんな素直なとこも好きだよ」
細く、頼りなさげな小さな身体を抱きしめる
「今、忙しいん?」
雅は俺の背に腕を回しながら問うてくる
「ちょっとね…厄介な事になってさ」
「大丈夫なん?」
「心配ないよ、もいだいぶ治まった」
なるべく安心させるように答えてやる
「心配させたね、ごめん。これからはまた、会いにくるよ…だからさ」
体を少し離し、ふざけたように
「久しぶりに」
と笑いながら雅の体をゆっくり押し倒した
(雅、愛してる)(いつかお前を心から笑わせてみたい)
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