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「なぁ、一生働かなくても裕福に暮らして死んでくのと、一生一所懸命働いて、まずまずの生活を送りながら死んでいくの、どっちがええ?」

仁王と幸村と俺と、何と無く三人で出掛けて、何と無く湘南の海にきた。
でもま、海に来たからといって対してやる事もなく駄弁ってたら、仁王が突然こんな事を言い出した。

「はぁ?そんなん、働かずに幸せに暮らすことだろぃ。」

「ふふ、丸井らしいね。」

「幸村は?」

「そうだね、今の話を聞く限りじゃ、前者の方がいいかな。」

幸村がそう答えると、仁王は首を傾げて考え出した。

「仁王、なんで急にそんなこと言い始めたの?」

「あぁ、おん。」

すると仁王は一拍置いて話し出した。

「俺はな、一生働かなくても裕福に暮らして死んでいくんは、ちょっと淋しくて、悲しいことじゃと思うんよ。」

「?」

「どうして?」

俺と幸村はお互い顔を見合わせ首を傾げ、再び仁王を見た。

「たしかに、お金があれば自由に出来るじゃろうし、働かんくてもええくらいあったら時間もできる。じゃけど、ただただ時間とお金だけを浪費して自由に生きるんには、一生は長すぎじゃと思わん?働かんかったら、辛いことにもあわんし、人間関係や、上司のことで悩んだりすることもないじゃろうけど、逆に、働くことの喜びだったり、達成感だったり、自分で働いてお金をもらう事の充実感とかが分からんままで終わってしまうじゃろ?それって、つまらなくなか?
これは俺の勝手な持論でしかないんけど、でも、そんな人生じゃったら俺は、辛くても、苦しくても、一生働いてもまずまずな生活しかできんかったとしても、その中での幸せを、俺は望みたいって思うんじゃ。」

そう言い終え、仁王は微笑んだ。

「なるほどね、いんじゃね?」

「うん、それなら俺も、そんな人生を望むかな。」

「ま、だとしても俺は金を望むけどな。」

「まったく丸井は。」

「くく、それもまた人生、なんじゃなか?」

「俺は生きたいように生きる、それだけだ。」

「ぶんちゃんそうじゃなきゃいけんよね。」

そうやって俺たちは笑いあった。

「まぁとりあえず、今はこの幸せを噛み締めようよ。」

「臭い。」

「ゆっきーはロマンチストじゃから。」


「さて、帰ろうか。」

「帰る頃六時間目終わんじゃね?」

「じゃぁそのまま部活じゃなー。」





おわり。

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