*短編*

□放課後デートはトトロ探しです
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『ん〜…やっぱトトロは根っこの下にいるばい!!
 おん、きっとそうたい!! 次はみぃ連れて根っこ見に行くたい♪』

雅と別れた2時間後、千里も帰路についていた。
裏山を下り、自宅近くまで帰っていたが。

『なんね、今日は騒がしかねー』

ふと呟くと、後方から

『ぁ、千里っ!!』

『蔵姉、どげんしたと?』

千里の義理の姉である蔵羅(クララ)が慌てたように駆け寄ってきて、

『あんた、雅ちゃを見かけてへん!?』

『みぃ? みぃなら先に帰ったとよ?』

『それが、帰ってきとらんて、幸ちゃんが!!』

『ぇ…?』

その言葉を聞いたとたん、千里は元きた道を逆走した。

(みぃ…まさか待っとぉと…!?)

『待っときみぃ…今行くばい…!!』



その頃雅は…

『…ちぃちゃん……』

まだ裏山にいた。

『言われた通り…帰っとればよかったっちゃ…』

千里と別れた後、雅はどうしても千里が気になり、再び裏山に戻ってしまったのだ。
だがしかし、雅は運悪く、山を上っている最中に足を滑らし、谷底に落っこちてしまったのだ。
それだけなら未だしも、雅はさらに足を捻ってしまい立てずにいた。

『…足痛いし…寒いし…怖い……ちぃちゃん…』

寒さに体が奮え、恐怖に怯え、雅は精神的にも肉体的にも限界がきていた。
だが、その時…


『…ぃー…みぃーっ!』

微かに千里の声が聞こえた。

『ちぃ…ちゃん…?』

『…みぃー!!』


はっきりとした千里の声が聞こえ…

『っ……ちぃちゃん…!!!』

出来るかぎり大きいな声で千里を呼ぶ

『!! みぃっ!? 何処におるとっ! 返事しなっせ…!! みぃー!!!』

『ちぃちゃん…!! ちぃちゃん助けてっ!!』


『みぃ!! おった!!』

雅を見つけ、谷底へ滑り落ちる。

『ちぃちゃん…!!』

『みぃ…っ!!』

涙を流す雅を力一杯抱きしめる

『みぃ、すまんばいね…一人で帰らせてしもて…』

『ううん、うちが言うこと聞かんと戻って来たんが悪かっん…ごめんしゃい…』

『みぃは悪くなかと…』

抱きしめながら雅の頭を撫でてやり


『みぃ、怪我は…しとらんと?』

『足…捻ってもうた…
 立てへんの…』

『足…… よしっ、みぃ、背中に乗りなっせ、おぶっちゃるたい!!』

でも…、という雅を説き伏せ雅を背負う。



『ちぃちゃん…』

雅が、心配そうに名前を呼ぶ

『心配せんくても、みぃは俺が守るたい…!!
 銀兄に言われたばい、好きな娘っ子一人守れん男は、男やなかって…!!!』

そういうと雅にむかい、安心させるように微笑んでみせた。


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続きます。


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