妖の蝶
□ぬくもり、そして仲間
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あの後、私は拉致される勢いで“奴良組”に連れてこられた。
“奴良組”
江戸で今急激に力をつけている妖怪任侠だ。
ぬらりひょん曰く、
「毎日の様にお前を見ていたが、あそこまで近づいたのは、今日が始めてじゃ」
私は今までずっと見られていたのか。
しかも、其れに私は気づいていなかったと。
……屈辱だ。
『……だが、何故お前は私を見ていたんだ?』
しかし、それ以上に疑問なのは。
如何してこいつが私を見ていたのか。
……場合によっては、殺さなければならない。
「そりゃあ、娘子の癖に末恐ろしい餓鬼だ。と思ったてな」
お前、河川で法師、殺してたじゃろと。
そんな事から見ていたのか…。
『だから何だ』
気に入らない。
こいつの心が読めないのも。
その、全てを見透かされてる様な目も。
胸糞悪い。
「ワシはな…お前が気に入ったんじゃ。
ほれ、いい加減に名前を教えぬか」
馴れ馴れしい。
気に入った?
……私はお前が気に入らない。
けど、嫌じゃないと感じてる自分がいる。
可笑しいな。
今までそんな事、思わなかったのに。
こいつになら、名前を呼ばれたいかもしれない。