NOVEL01

□ギャングの子供たち
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ふいに、ハッと意識が覚醒する。
見えたのが寮の天井ではなかったのでジョルノは一瞬ここがどこか分からずに混乱して、亀の中の部屋で仮眠をとっていたのだと気付いた。
のろのろと起き上がり目を擦る。トリッシュがソファに横たわり寝息をたてている。
起こされたのかと思うが頭上からアバッキオとブチャラティがボソボソと会話しているのが聞こえる。
見張りの交代に呼ばれたのではなかったようだ。尿意も別段ない。
ジョルノはなぜ自分が目覚めたのか分からずに朦朧としながらキョロキョロと暗い室内を見まわす。

「…?」

背後に衣擦れの音を聞いて振り返ると、とろんと眠気を引きずっていたジョルノの顔が強張った。

ソファに沈み込んで、下着ごと下衣をずりさげられたフーゴと前をくつろげたナランチャが折り重なるように体を寄せあっている。
音をたてまいと緊張した動きでナランチャはヘコヘコと腰をゆすっていた。フーゴはソファに突っ伏していて顔は見えない。

見てはいけないと思ったがつい結合部を凝視してしまった。顔が熱くなった。同時に吐き気のような、胸やけのような感覚。

「あっ…やべっ…フーゴがうるさいからジョルノが起きちゃったじゃねえか…」
「…ん…っ……んな、僕はうるさくなんか…っ」

ナランチャがとっさに体をかがめて局部を隠した。フーゴが顔を上げて涙ぐんだ目でジョルノを見る。

「すっすみませんッ」

ジョルノはぎゅっと目を瞑って弾かれるようにソファに倒れ込んだ。
向こうが気付いていないなら、再び横になって寝たふりをしようと思ったのだがそうもいかない。
見てしまったことが恥ずかしくなりジョルノはソファにしがみつく勢いで背もたれにくっつき、気まずさに耐える。

「えっ…抜くんで…ぁっ…」
「ーったく、何言ってんだよフーゴ…」

ベルトのバックルを閉める音、フーゴが非難がましくナランチャに何か訴えている。

「…あーあジョルノが傷ついちゃったぜっ…なぁフーゴ、ジョルノはフーゴと違ってまだ」

15歳なんだからさ。と普段から年齢に拘るナランチャがフーゴにこしょこしょと話している。一つしか違いません。とフーゴが反論したが、ジョルノは現に二人を見て面食らってしまったのだからフーゴの方が屁理屈だった。
意外な上下の逆転した姿に、普段ならばジョルノもクスリとしただろう。
不完全燃焼で機嫌が悪くなってしまったらしいフーゴは冷たく相づちを打つとそっぽを向いた。
ほっといてくれと言わんばかりに無視されるナランチャ。くりくりした目がフーゴとジョルノを見比べ、口を突き出して拗ねた顔をしたかと思うとにかー、と笑顔を浮かべた。

「そーだ。ジョルノも一瞬にシようぜ。ならいいじゃん、フーゴ」
「え…?!そ、そんな。ジョルノに悪いですよ」

ジョルノは自分に話題が移ってしまったのでそっと顔を上げて二人を見た。視線がかち合う。胡散臭いもののように見られてフーゴは決まりが悪そうに下を向いてナランチャの腕を乱暴に引いた。

「ナランチャにされたらジョルノは痛い思いをするでしょう。僕みたいに」
「今は平気じゃんかー。俺もうまくなったしさぁ」

な?とナランチャに笑いかけられてジョルノは、はぁ、曖昧に返答したものの、唇を引き伸ばしてなんとも言えない笑顔を浮かべた。
先輩の言う大抵のことには極力従うべきだと思ってはいるが、避けたい話だった。タイミング悪く目を覚ましてしまったことを恨んでも遅い。
ジョルノが黙っているとフーゴが優しく(しかし視線と吐息に生々しい欲をジョルノは感じた)フォローする。

「あー…経験は?もし嫌なら無理強いはしませんから。」
「女性とは少し…でも、あんまり好きじゃ…」
「っじゃー俺が最初ー。最初な」

答えを待たずにナランチャの手が回ってきてベルトを外し、ズボンと下着をずり下ろされる。ジョルノは驚いて跳ね起きた。ソファから離れようとしたが狭い部屋に逃げ場はなく、トリッシュを起こさない為にも騒げない。
子犬のような顔で手を伸ばしてくるナランチャ。助けを求めようとフーゴを見たが、にこりと笑いかけられただけだった。ジョルノに味方はいないのだ。

「…な…するなんて、言って…」
「足あげろよジョルノ」

片足ずつ足を上げさせられ靴まで脱がされる。下半身だけが裸になり、ひやりと肌寒い。つい女々しくかがみこんで体を隠そうとする姿勢になった。
ナランチャが腰から爪先までを舐めるように見つめてくる。
ジョルノは意識しないように目を逸らし、足の甲をもう片方の足でさすった。
つい軽く、下唇を噛んで身を固くする。

「僕がちゃんと準備してあげますから。怯えなくても大丈夫ですよ。」

フーゴにそっと肩を抱かれる。しっとりと汗ばんだ首筋がこめかみに触れた。きつい香水と汗の匂い。
ジョルノはちらりと亀の天井を見る。
ブチャラティ達の意識がこちらに向く気配はない。
それにアバッキオに見られたらまた騒ぎが大きくなりそうだ。ブチャラティだけが中を覗かないかと思ったがそんな偶然はないのだった。
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