NOVEL01

□後
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※かなり創作要素が高いです。
※承太郎さんが憎まれ役です。
※ジョルノが悪の救世主になりそうです。




ジョルノはヴァンパイアについて、小説や映画の中の妖しげな貴族の男や、墓場から這い出てくる死んだ筈の人間。首をはねて殺すだとか十字架やニンニクや日光が苦手だとか、そんな非現実的な設定を知っていただけだった。
ふざけているのかと思ったが、相手が嘘をついているのか本気なのかくらいはわかる。
目の前の男はいたって真面目に話しているのだった。

「…だから、僕もそうだと?」

☆☆☆


立ち並ぶ研究施設は森の中の白いチーズのようだった。工場のようでもある。ジョルノも知っている有名な財団の研究所だ。
てっきりクージョーがそこの職員なのかと思ったが、ポルナレフが言うにはそうではないらしい。
まったく、ジョルノが知らないことが多すぎる。ゲストではなく当事者だというのに。
クージョーに会ったら根ほり葉ほり聞きださなければとため息をついた。
少ない街灯に照らされて白く浮かび上がるいくつもの棟の間を抜けて、指定された比較的小さな建物の裏に回ると、白い扉の前に数人の白衣の男達と黒い帽子の人物が立っている。クージョーだ。
以前と変わらないロングコートに帽子を深く被った服装は遠目に見ても彼と分かった。
ジョルノ達の姿を見つけて長い腕を上げる彼にミスタが手を振って応えたが、ジョルノはその後ろに突っ立ったまま値踏みするように真っ直ぐ睨みつけた。
以前見た時には随分と上にあったクージョーの頭もすぐ近くになっている。
クージョーはチラとジョルノの仏頂面を見るとミスタと軽く握手をし、亀のスタンドからのポルナレフのくだけた挨拶に息だけで笑った。

「随分と大きくなったな。ジョルノ君」

彼の方から差し出された手に反射的にジョルノも右手を出す。ジョルノの想像より彼はずっと友好的だ。

「またお会いできて光栄です。Mr.クージョー」

ジョルノも口角を上げて営業用の笑顔を浮かべて英語で挨拶する。クージョーの
口元は微かに笑っているが、目元は帽子が影になっていてまるで表情が見えない。



施設の中は薄暗く、夜の病院のようだった。人は居ても機能している様子はなく廊下の殆どは最低限の照明しか点けられていない。
切れかけた蛍光灯がチラチラと照らす

ジョルノに身長を越されたんじゃないかとクージョーをからかうポルナレフの声もまた、表面的には楽しげだったが重苦しかった。
葬式でジョークを言うような雰囲気は、今の気分のせいだけではなく、クージョーから漂う威圧感と自分への警戒の為だ。警戒しているのはジョルノだけではないのだった。
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