心の中、透かしてよ、
□5、憂鬱で憂鬱なとんでもない日
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「で?」
「・・・うう・・・」
放課後。
またまた廊下の外れ。
そこに和奏と剣城はいた。
もちろん、朝の話の続きだ。
「何なんだ?」
「えーっとですねぇ・・・うう・・・」
なかなか言い出せない。
理由は迷惑だろうと思っているからだ。
───いきなり使命を手伝ってくれ、なんて────。
「・・・用がないならサッカー部、いくぞ」
「ぅおおう、・・・待って、ください・・・」
つい変な声をあげてしまうが、気にしてはいられない。
言わなきゃ。
変わるって決めたばかりなんだ。
「アタシの使命の手伝いをしてもらいたくてっ・・・」
──────言えた。
案外すんなり言えるもんだなぁ、なんて思ってほっとしながら剣城を見ると・・・何あの目。
ひぃぃ、何かごめんなさい。
心の中で謝りたくなるほど、睨まれていた。
「ごっ、ごめんね、やっぱり無理ですよね!!」
手を振りながら、必死に逃れようとする。
ううう、何故アタシはこんなことを言ってしまったんだ。
「いや・・・」
剣城が呟く。
「その───勝手に手伝い、とかしてもいいのか?」
・・・それもそうだ。
わぁ剣城あったまいい!!
アタシに出された使命だもん。
もし勝手にこんなことしてシロに大目玉食らったら、やだもんね!!(まぁシロだからそんなことないと思うが)
「・・・じゃあ聞いてみようか」
「・・・はぁ?」
剣城には訳わかんないかもしれない。
でもアタシは、確かにシロとの会話方法を知っている。
もちろん今から寝る、とは言わない。
そしてアタシは昨日のことを思い出した。
もう永遠に封じ込めたい思い出の1つ───────。
ノート、だ。
確か昨日、リアルタイム中継、とか言って驚いた記憶がある。
咄嗟に鞄からノートを取りだした和奏を、剣城は不思議そうに見つめる。
ペラペラ、とページをめくると、案の定1文が書き足されていた。
『話は全部聞かせてもらったよ。・・・まぁ別に僕はどうでもいいんだけどさ!!細かいことは気にしないんだよね、僕』
──────よっしゃあっ!!
アタシはこれまで以上の笑顔で、剣城に説明し始めた。