心の中、透かしてよ、
□3、青色ハートブレイク
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「くふぅぅぅ・・・」
自宅に戻り、部屋に着いた和奏はベッドに体をうずめた。
そこから漏れたのは、安堵であり、ただの疲労感であり、不安だった。
何故翼という少女はアタシの正体を知っているのか。
シロ(笑)は一体何者なのか。
───何故アタシがこの世界に連れてこられたのか。
まだまだ疑問は多いが、とりあえずこの話はここで終わりにしよう。
和奏はベッドから起き上がり、鞄を手に取るとその中からノートを取り出した。
シロのノートだ。
パラパラ、とページをめくると、1枚の紙切れが落ちてきた。
「これは・・・」
見覚えのある紙。
それはあの白いところで見た、心の潤いの早見表だった。
そして、ノートには文章が。
『これ、君忘れてたんだよー。もう、おっちょこちょいめっ☆・・・えっと、使命、忘れてないよね?頑張ってよね!!』
いちいちいらっとくる文章だ。
「☆が更にいらっとくる・・・」
和奏はポツリと呟くと、小さく笑った。
もしかしたら、最近会った人で一番仲がいいのはシロかもしれない。
きっと、彼(?)とはいい友達になれるきがする。
───もう6時半、か。
何か夕飯食べないと。
そう思った和奏は台所へ行き、冷蔵庫を開けた。
これもシロのおかげなのだろうか。
冷蔵庫には食材がたんまりと置いてあった。
・・・しかも、アタシの好きなもの、が多く。
シロに好きな食べ物なんて教えた記憶がない。
・・・偶然だろうか?
──まぁいい。
和奏は冷蔵庫からいくつかの食材を取り出すと、静かに調理を始めた。
包丁を手に取る。
ぽろ、ぽろ、と涙がこぼれてくる。
・・・悲しいとか、嬉しいとか、切ないとか、そういうわけではない。
「・・・玉ねぎ・・・嫌いだなぁ・・・」
1つ、そしてまた1つ、和奏は包丁をいれた。