心の中、透かしてよ、

□7、ゆめまぼろし
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「ん・・・?」

目が覚めたのは、とある病室だった。
無機質な白い天井、真っ白なカーテンが目に入る。

「気がついたか」

「おわぁっ!!・・・剣城」

隣に座っていたのは剣城。
病院のベッドに寝ているアタシを、悲しそうに見つめている。

「・・・アタシ・・・」

「グリードという奴が攻撃してきたんだ。お前はそれから3日意識がなかった」

「えぇっ!!3日も!?」

アタシあの会話にどんだけ時間かけてんだ、とさっきの会話を思い出す。

あと20日。
それが決断までの時間。

「・・・というかお見舞い、来てくれたんだ。ありがと」

剣城はお礼を言われ慣れてないのか、頬を赤らめそっぽを向いた。

「・・・天馬たちも来てたんだ。少し前まで」

「へぇ、そっか」

アタシが笑うと、剣城も微笑んだ。

・・・剣城のこんなに優しい笑顔を見たのなんてこっちに来てから初めてだ。

「あ、そういえばあのー・・・沖本くん、どうなった?」

「あぁ、沖本なら───」

その話をしていると、突然病室のドアが開いた。

「京介、こんなところにいたのか」

「兄さん」

扉から入ってきたのは剣城のお兄さん────優一さんだった。

「・・・そちらは?」

「あぁ・・・同じクラスの和奏椿だ。最近転校してきた──」

「あ、どうもっ!!和奏と言います、剣城のお兄さん・・・」

「あぁ、そうだよ。よろしくね、和奏さん」

そう言って優一さんは微笑む。
同じ兄弟でこんなに差があってもいいのだろうか・・・。

というか優一さんと同じ病院だったのか、アタシ。

「兄さん・・・リハビリは?」

「あぁ、今日はとりあえず終わったよ」

・・・あ、そういえば1期で手術代出してくれる人がいる、って言ってたもんな・・・。

今はリハビリしてるのか・・・。




シロの言葉が頭に蘇る。

この世界はアタシの夢、パラレルワールドでしかないこと。

もしかしたら今、アニメではこれと違い、優一さんがサッカーできてるのかもしれない。

パラレルワールドとはそういうことだろう、と和奏は思った。



「和奏?」

ボーッと考え事をしていたのに気づいたのか、剣城がアタシの名前を呼ぶ。
それで我に返り、「ううん、何でもない」と答えた。

「アタシ、もう退院できるかなー・・・」

「まだ無理だろう。念の為もう1日寝ておいた方がいいだろうな・・・」

「・・・うう。そっか」

剣城にそう言われ、軽くへこむ。
早く学校行きたいなー。

「京介。飲み物買ってきてくれないか」

「あ・・・ついでにアタシも!!」

「あぁ、じゃあ買ってくる」

優一さんとアタシに頼まれた京介は、病室を出て行く。

その部屋にはアタシと優一さんの2人になった。

「和奏さん」

「はい?」

優一さんに呼ばれ、首を傾げる。

「京介、実はこの3日間、ずっと君の病室をのぞいてたんだよ」

「え・・・」

「・・・助けれなかった、って。何があったのかは知らないけど・・・京介、シャイだから。このままだったら自分から言わないかな、と思ってさ」

「そうだったんですか・・・」

別にあれは剣城のせいじゃないのに。
逆にアタシが巻き込んでる。
そのはずなのに。

剣城は─────。

「京介が女の子にこんなに心を開く事なんて滅多にないから。これからも仲良くしてあげてね、和奏さん」

「は・・・はい!!」

嬉しいような、悲しいような、そんな気持ちが沸いてくる。
でも今はとりあえず笑っていられる!!

「買ってきたぞ」

「剣城、ありがとう!!大好き!!冗談だけど!!」

「な、何だいきなり気色悪い」

今までのいきさつを知らない剣城は1歩後ずさる。

それを見ていた優一さんがクスッと笑う。
それにつられてアタシも笑う。
剣城は何もかも分からないまま、ため息をついた。





「今はこれでいい。これでいいんだ」














***


説明下手っ!!

そして優一さん登場です。
いやー、いまいち口調が・・・。
未だに京介の口調も掴めてませんが。

入院の際、保険証とかどうしたんだとかいうツッコミは神がどうにかした、ということでw

では、アディオースノシ


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