心の中、透かしてよ、
□7、ゆめまぼろし
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「・・・ちゃん、椿ちゃん!!」
ハッと目が覚めたのは、白い部屋。
この部屋は知っている。
白い部屋からは声は聞こえるのに、姿はない。
間違いない、ここはシロがいる場所だ。
声で分かる。ただそれだけで。
「アタシ・・・何でここに?」
「知らないよ・・・。いきなり君が落ちてくるんだもん。それからずっと寝たままで─────」
あぁ、そうか。
アタシ、グリードっていう奴にボールぶつけられて倒れたんだ。
じゃあ今までのは全部夢?
────夢にしてはリアルすぎる。
自分がいた世界の友人に会ったり、トリップする前のことが鮮明に思い出されている。
じゃあ一体何だと言うんだ?
「・・・どうしたの、椿ちゃん。元気ないけど」
「その呼び方やめろっての。・・・実は」
アタシはシロに今までのこと───グリードっていう奴が現れたり、自分が夢の中で刺されたりしたことを話した。
「・・・」
「ね、おかしいでしょ?」
「う、あぁうん」
正直、シロの様子もおかしいけど。
「そうか・・・そういうことか・・・」
「え?何が?」
シロは小さく呟くように言ったのがアタシには丸聞こえで、聞き返す。
シロはあたふたしたように、「ううん、こっちの話」と言った。
「・・・アタシ、刺されたのかなぁ。ここに来る前に」
シロが黙り込む。
和奏も彼の返答を待つ。
きっと、シロなら何か知ってるはずだから。
「・・・やっぱり、分かるよね、そんな映像見させちゃ」
アタシより先に折れたシロは諦めたように話し始める。
─────それは、あまりにも悲しくて和奏は耐えられないものとなった。