S・S

□act.1day
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鳴り響くメールの着信音

誰だ…?こんな朝早くから

時計の針はまだ5時30分を指している

朝のロードワークを日課としている自分はこの時間起きているが、周りはまだ寝ている時間だ。

携帯を開き確認する

珍しいメールの送り主の正体は……

「ヴォルフ、じゃん…」


昨日、俺のことがすきだと告白され一週間限定で恋人同士になった俺の親友

どうして俺は頷いたのか…
今思い出しても変な感じだ。


メールの内容は“おはよう”
たったそれだけ

「えっ?これだけ?」

あまりの拍子抜けする内容に緊張が一気に取れる

なんなんだ…

文句の1つでも言ってやろうと電話してやった


『……もしもし』

何回目かのコールの後、聞こえたのは不機嫌な声

「はよ。見たメール。なんだよこれ」
『…何と言われても…おはようのメールだ』
「つか早すぎだろ。俺は朝トレあるから起きてるけど、ほかの奴だったら怒られっぞ」
『………すまなかった』

なんか…やけに素直?

「いや、さ、別に悪くはないぜ?俺は全然平気だし、ただ珍しいからどうしたんかなって思ってさ」

いつもの強気な態度でくると思ってたからなんだか調子が狂う

「ヴォルフ…?」

応答が無いので呼びかけてみる

『なん、だ…?』
「…もしかして眠いんか?」
『朝は弱いんだ…』

あー…そう言えばそうだっけ

『朝トレに行くんだろ?』
「あっ、うん」

時計は予定時間をすっかり回ってる

『すまなかったな、朝早くから。じゃぁまた学校でな…朝トレ頑張れよ』
「えっ、ちょ、まっ、」

ブツッと切られた電話
耳に通るツーツーという音

一体全体なんだったのか結局わからなかった

だけど、俺が思ってるだけだけど、

“おはよう”のたった4文字を伝える為に朝弱いのに起きてメールを送ってきてくれたんだとしたら、

頭に浮かんだ【恋人】の言葉

なんだか…むずがゆい…

携帯を閉じて玄関に向かう
外に出ると朝特有の空気が火照った頬をなでた


残り7日間…
どうなるかわからない
だけど考えても仕方ない

東から昇る日
俺は走り出す



二人の7日間が始まった


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