小説部屋
□愛玩部長(後)
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次の日、僕は学校を休んでしまった
熱が出て、声もかれちゃって…何より身体中痛くてマトモに動けなかったんだ
そして二日後、朝練が始まる少し前に、僕はサエさんとダビデを部室の裏に呼び出した
「もう!何なんだよ、この間のは!!」
まだ少しよろけながら、精一杯の恐い顔で二人を睨んだ
「何って、俺とサエさんの『共通の趣味』…」
「あんなの趣味じゃないよ!趣味っていうのは"楽しみとして愛好するもの"だもん」
昨日の夜、辞書で調べたらそう書いてたもん
どうだ!って感じで二人の反応を待っていると、サエさんがクスッと笑った
「わざわざ調べてくれたんだ?」
「Σっ!?」
し、しまった…!!普段使わないような単語使ったからバレちゃった!?
うぅ〜…、もうあんな恥ずかしいことにならないために、ビシッと言ってやろうと思ってたのに…
もうこうなったら奥の手だっ!!
「二人とも、今後あーゆーのは禁止ぃー!!これは部長命令だからね!」
人指し指をビシッと立てて、僕は宣言した
これなら、文句のつけようがないはず!
「あーゆーのって?」
「へ?」
ダビデからの予想外な質問に、僕は目が点になった
「具体的に言ってくれたら、やめる」
「ええっ!?///」
具体的にって…、昨日されたこと全部言えってこと!?
「忘れたなら、思い出させてやるけど…」
ダビデはにやりと意地悪な笑顔を浮かべて、僕の耳にチュッとチュウした
「それに、意味ならちゃんと当てはまってるよ。俺達、剣太郎を可愛がるの、すごく好きだし楽しみにしてるから」
サエさんも眩しいくらいの笑顔でそう言って、反対側の耳にチュウした
「そっ、そういうことじゃなくて…、とにかく、ダメったらダメなのーッ!!!///」
一方その頃……
「練習始まるってのに…、あいつらまた剣太郎いじめてんのか?」
「しょうがないよ。剣太郎って、泣き顔可愛いから」
クスクスと笑いながら呟いた亮の言葉に、他のメンバー達も頷いた
六角中の1年生部長は、今日も皆から愛されまくり…。
終