小説部屋

□和み
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「あ…、あの…っ手塚さん!」

校門を出たところ、後ろから誰かに呼びかけられ、俺は足を止めて振り返った


「お前は…確か六角の葵だったな」

「は、はい!急に呼びとめちゃってすみません!」

葵は小走りで駆け寄り、頭を下げた


「どうした?こんな所で何をしている」

「えっと、実は…その…手塚さんにお願いがあって…」

そう呟き、ギュッと自分の制服の裾を握り締めた


「手塚さん!僕の先生になってくださいッ!!お願いします!!」


・・・・・。


「…すまんが、どういうことか詳しく説明してくれないか」

「あっ…そ、そうでした!すみません!!」

「いや。ゆっくりで構わない、理由を話してみろ」

落ち着くよう促すと、葵は頷き 小さく深呼吸した


「僕、ずっと手塚さんに憧れてて、手塚さんみたいな部長になりたいんです!…でも、僕は部長としてもテニスプレイヤーとしてもまだまだだから…」


僅かだが、声が震えている


「つまりは 俺に助言してほしい、ということか」

「は、はい!人に頼るのは良くないってわかってるんですけど、自分じゃどうしたらいいかわからなくて…お願いします!!」

「………」

「や、やっぱり…ダメですか?」

「………」


必死さと概ねの事情はわかったが、安易に受け入れられる願いでは無い



だが、次に自分が口にした答えは、その考えとは異なるものだった



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