小説部屋

□days
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「Σはわっ!?」

部活中、顔を洗おうと水道の蛇口を捻った途端、辺り一面に水飛沫が飛び散った

「な…何これぇー!?」

とりあえず、ボクは慌てて蛇口を閉めた

そしたら、なんとか水は止まってくれたんだけど…

「あ〜あ…びしょびしょだよぉ…」

体に貼り付いてくるユニフォームを引っ張りながら、ボクは小さく唸った


「剣太郎!」

「え?あ、サエさん」

さっきの出来事が見えたらしく、サエさんが駆け寄ってきてくれた

そして、びしょ濡れになったボクを見て はぁ…と溜め息をついた


「右端の水道は壊れてるって、部活始まる前に言ったはずなんだけど…」

「あっ!」

わ、忘れてた…。

笑って誤魔化すボクに、サエさんは苦笑して

「しょうがないな、剣太郎は」

呆れながらも、手に持っていたタオルで 濡れた部分を拭いてくれた

「サ、サエさん、これくらい平気だよ」

「ちゃんと拭かないと風邪ひくだろ?じっとしてて」

優しく促されて、少し迷ったけどボクはコクリと頷いた


うう、中学生にもなって 人に体(正確には服だけど)拭いてもらうなんて…。
こんなとこ もし女の子に見られたら…

うわぁー!そんなの絶対やだぁー!!!

ボクは思い浮かべてしまったことを消し去るため、ぶんぶん首を振った


「ちょ…剣太郎、じっとしてろって」

「ご、ごめ… ひゃっ!」

ごめんなさい、という言葉は 途中までしか言えなかった

代わりに出すつもりのない声が出て、ふるっと体が震えてしまった


「あっ…あああ あの!い、今のは くすぐったくて…」

「へぇ、そうだったんだ」

言い終わる前に、今度はサエさんの言葉と笑顔によって 言い分けは遮られた

「けど、くすぐったいだけなら我慢できるよな?」

「えっ!?」

「くすぐったいだけ、なんだろ?」

意地悪な笑顔を浮かべながら、今度は偶然じゃなくて…
意図的にボクの胸元をタオルで擦りはじめた




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