小説部屋

□Love Life
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「僕ね、好きな子ができたんだ」


剣太郎がまだ小学生だった頃、俺は何度この言葉を聞いただろうか


「同じクラスの子で、みんなから可愛いって言われてるんだよ」

嬉しそうに剣太郎はにこりと微笑む

「へぇ、そんなに可愛い子なんだ?」

「うん!」

俺はもう、このときから剣太郎のことが好きだった

けど、だからって話を聞いてるのが嫌だとか、その女の子を憎いと思ったことは一度もない

理由は簡単。

好きな子と話せるチャンスを逃す手はないし、剣太郎の言っている『好き』が、本当の『好き』じゃないからだ

剣太郎が『好き』になるのは、いつも学年やクラスで1番可愛いと言われている子ばかりで、答えを言ってしまえばそれはただの『憧れ』でしかなかった


「で、告白するのか?」

「Σえっ!?」

俺の質問に剣太郎は顔を赤くして目を見開いた

そして、暫くして小さく首を振った


「一緒にいられるだけで幸せだもん…」

少し俯いて、そう呟いた



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