黒子のバスケ

□オリオンのままに 4Q
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やぁどこかのアホのアキラの所為で睡眠時間が1時間は減った赤司征十郎だよ



そいつを起こしに奴の住まいにきたんだが…









「あいつの家がなんで高級マンションの最上階なんだ」









昨日の晩も訪れた時は正直なんの冗談かと思ったが能天気そうな顔で『ここの最上階なんだよ!』と言われた瞬間俺の右足がアキラの足を踏みつけていた



昨日のうちに済ませておいた虹彩認識システムをパスしエレベーターに乗り込み最上階のボタンを押して壁に背を預ける






若干眠い。俺からアキラの我儘をきくといったがキスハグよりも違った意味でキツイな



俺はあいつを遅刻なんてさせるつもり無いから朝早く来たんだが…携帯を出して時間を確認







6時30分、か







はやすぎたかもな。あ、ついた






最低限の音量であいた扉の先はホテル内装の廊下と数枚のドア

ドアのすぐ隣に4ケタの番号が振られておりそこの家のカードキーと同じ番号らしい



鞄からアキラの家のカードキーのスペアを取り出し同じ番号を探す








「0856、0856…あった。」







…オヤコロとも読めるな。ゴホンゴホンッ



目的のドアの前に立ち銀板の溝にカードをスラッシュさせると鍵の開く音がきこえ遠慮なく室内に入りもう1度鍵をかけた










ホテルのスイートルーム並みの部屋の多さ。見晴らし具合。多少の生活感のあるようで少し安心する







「___それにしても広いな」






家族4人が暮らしててもゆとりがある程広いここに住んでいるのか






「あいつ何処で寝ているんだ?」






広めの玄関スペースに靴を揃えて置き近場にあった客人用スリッパ(赤)を勝手に拝借



近くのドアを片っ端から開く






客室用が少なくとも5室もある
トイレと風呂が別々で無駄に広い
20畳は軽く超えるリビング。キッチン付き

螺旋階段がありそこを昇れば廊下と数部屋が並ぶ




階段から1番近い部屋をゆっくりあければ探してた奴が呑気に眠りこけていた

穏やかな寝息が俺が踏みだした時一瞬消え少ししたらまた聞こえ始める






「…」





部屋のド真ん中でベッドに眠るアキラを叩き起こす為の手段その@











@布団を剥ぎ取る




「アキラ。おきろ」




俺が眠い中で起こしに来たのにその態度はないよね。勢いよく布団を剥がす…ってでかいな


近づいて見ればよくわかるがこのベッドキングサイズだ。しかも全部黒色







意外だな。このアホのことだからシングルの普通のベッドに寝てるかと思いこんでた








剥ぎ取った布団をフローリングに捨て眠っているだろうアキラをみる____え?

自分の見たものが信じられなくて目を両手で覆いその場に蹲る







「…はぁああぁ…」







まてまてまてまて。落ち着け赤司征十郎

きっとアキラはドッキリをしてる訳ではないんだ。これが素なんだきっと





死んだ魚のような眼で現状を再確認




そして溜息




嘘ではない。奴は本気で裸、で眠りこけている。俺の目の前で







「…アメリカンスタイルって怖い」






思わず視線を逸らし異文化交流に遠い眼を向けてやる。俺が来る事分かってるなら服位着ろよ!





ギンッ
鋭く睨みつけようがアイツのATフィールドは崩せない。図太い精神力だな。ハァ









藍澤アキラを叩き起こすための手段そのA




A教育的指導で文字通り叩き起こす

丁度今うつ伏せで寝てるし背中に平手一発でも入れれば痛みで起きるか





俺がベッドに乗り上げても軋まないベッドに若干惹かれながらも膝をついて眠りこける奴の前まで来てその場で胡坐を掻く




薄暗い部屋の中でアキラの肌の白さがやけに映えるなとふと思う

筋肉は適度についてるが全体的なバランスとして少なめ。寝ている姿は黒猫がねているみたいだ





「、起こすか」






つい分析してしまったがなにが哀しくて男の体なんか朝から見なくてはいけないんだ

自然と眉が寄り始め抑えてた苛立ちを振り上げた右手に込める







「あと3秒で起きなきゃまずは1発」






3、2、1、0





バカなアキラ。釣り上がった口元をそのままに勢いよく右手を振り下ろす


















バシィインッ!!







「ッ??!」





飛び起きたアキラに残念そうな顔で挨拶





「やぁ。おはよう」

「ぐ…Good morning…」





ナチュラルに頬に口づけられるのをスルーし眠気眼のアキラを呆れる



痛みで飛び起きた筈なのにまだ眠いのか。じゃもう1度…




スッ
右手を振り上げるとアキラが慌てて阻止。ハハッ必死だな?




「 !! 征ちゃんもう止めて!ボクのライフは0よ!」

「知らないね。俺のライフに問題ない」

「朝からなんつー恐ろしい子なの。鳥肌たったよ」




仕方なく手を下げれば安心したのか深い溜息が聞こえた…いい加減服きろよ






にっこり

「アキラ。あと30秒以内に服きて。じゃないともう1回」





引き攣るアキラの表情に更に笑みを濃くすれば最速でベッドを下りクローゼットを開く




さすがに痛いのは嫌いなのか





着替え待ち中ベッドサイドに置いてある写真立てを見つけ近づき手にとる








そこには楽しそうに笑うアキラと金髪少年が肩を組み合ってこちらにピースをしていた
適度に汗をかいておりバスケをした後にとったのだろう


日付は去年の秋頃


場所は恐らくアメリカのストバスかな




写真立てをじっと見てる内に着替え終わったらしく声をかけられ慌てて写真立てを置く


…別に見てはいけないものを見ている訳ではないのに変な態度をとってしまった


アキラが訝しげに俺をみたと思ったら急に背中から抱きついて俺の首元からヒョコッと顔を出す






「離れろ」

「お。征ちゃんたらこの写真見てたの。スケベだなぁ」




アキラの顔を強制的にこちらに向け至近距離で睨みつければ冗談なのに〜とハグされ密着された



やっぱりアキラの感覚って他とズレてる。なんで睨まれて抱きつくんだか



怒るのも馬鹿らしくなりそのまま自由にさせ再び写真を見つめた












随分と大人しくなったアキラが小さく呟く



「征ちゃんはその写真きにいったの?」




ボクあまり見たくないんだけどな










人の首に顔を埋める奴が言う台詞ではないが妙に冷たい口調が違和感を生む

日本に来た理由が人と会う為だけでなくこの金髪と何かあったからというのも含まれるんだろう


腹部に回された両腕に力が入る

わかってる。もう見るなと言うんだろ






これ以上アキラの琴線に踏みいれる必要はない

無闇に詮索するのは俺らしくないしな





ぱたん

写真立てを伏せ腹部に回る両腕に軽く触れ安心させるように優しく叩く

スッと力が抜けたものの縋るように回る両腕。制服のブレザーがぎゅっと掴まれる








…何に怖がってるんだか







「…お前にとって触れられたくないモノを俺の視界に入る所におくな」

「、うん。悪いけど征ちゃん。その写真仕舞ってくれる?」

「…わかった」






近くのチェストの1番下の奥に伏せて仕舞う。相変わらず密着したままで動きにくい




この部屋に入って幾度目かの溜息




項垂れるアキラを見ようにも顔を埋めているものだから表情もみれやしない


余程先程の写真が嫌なようだ。いままで仕舞えなかったのも自分で見るのも嫌だったからなのだろうか



あの藍澤アキラが嫌う相手
どんな人物なのだろうかと胸の片隅に置くとしようか








…下にいくか。飯でも食べればいつものテンションに戻るだろ




柔らかい藍色の髪を荒く乱してもいつもみたいに反抗は一切せず俺が反応に困った









はやくいつものお前になれよバカ


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