文豪ストレイドッグス

□殺しきれない衝動
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 夜に活発に動くマフィアという職業は血や硝煙に塗れるだけが仕事では無い。

中には報告書や始末書と言った必要な書類を提出する義務がある。それは重役になればなるほど増える傾向にあるのは一般社会と同じなのだ。



 ポートマフィア幹部としての地位を持つ中原中也には専用の執務室を授けられている。部下からの報告書やら書類が山となる前に優秀な部下から始末して貰うことも多いのだが……

その部下といえば現在書類の山を執務机から崩し毛の長い絨毯へと巻き散らばして拾う事すら出来ない。

規則的に揺れる体は玉のような汗を浮かばせ、苦しそうな殺した声を零してしまう口元へ手を添え、その甲へぎりりと歯を立てるが腹の奥まで届く衝撃に艶やかな声が漏れてしまう。

「っーーぁあ……っ」

「は……なぁ、声あげろよ……っく、ぅ」

「やっやぁ……で、す!」

 互いに肌蹴た中途半端な服装。だが一目で行為に浸っているもしくは始めようと着崩してるようにしか見えないだろう。

だが小夜の胎内には薄い被膜を身に纏う中原自身が体積を増やしながらも、熱く蠢くその中でぎゅうぎゅうに締め付けられ、何度も快楽を帯びる吐息が中原から漏れた。

赤みがかる明るい茶髪がじわりと汗に濡れ中原が律動をする度に執務机に組み敷いた小夜へと落ちていく。


 焼け付くほどに燃え上がる体温に汗が冷水のように感じられるのか、びくりと敏感に跳ねた小夜。手の甲を噛みながらも乱れた髪を押し付けるように執務机へ顔を逸らし悶える。

くぐもった声は繋がる部位から溢れる水音をただ引き立たせ中原の背徳感を擽ったのか、上がる口角と共にしっとりと吸い付く腰を引き寄せ狭まる胎内を存分に堪能していく。

途端に荒い呼吸とくぐもる嬌声はされるがまま強制的に強弱をつけさせられ、逃げ場の無い快楽は混ざり合う体液の音が耳に突き刺さる。小夜はただただ羞恥心に震えていた。

「は、ぐっぅ、……ッぁ、っん、ンん!」

「ん……」

「ーーッ、ひ……っちゅ、や……さッやめっ」

「だーれが止めてやるかっての」

「は、ぅ、ぅあ……普通に、やりた……っ」

「体位は普通だろうが。汚れねえように……ッんン……ゴムまでしてやってる。これ以上俺に何を求めるんだァ?」

 興奮してるのか紅潮した顔をニンマリと歪ませた中原。笑顔で人を追い詰め殺す小夜が乞う内容を笑顔で断ち切ると、一際強く腰を打ち付け厳格な執務室にそぐわない肌を打つ音が響く。

一度だけでは無く断続的に呼吸よりも素早く水音を掻き消すほどに強く。執務机の上で自由の効く上半身だけを捩り顔を机に押し付け律動にまた手の甲をがりりと噛む小夜に、中原は笑みが止まらない。

くぐもった声すら切羽詰まったものへと変化し必死に殺そうとする口元からは漏れ出た嬌声と共にたらりと唾液が伝い机へと雫を垂らしていく。

「ーーんあッあ、ん……っ……、ッふぅぅ……ッあっああぅ、ッ」

「今更、声を殺して、っは……何になるんだよ、小夜……聞かせてやれよ。通りすがる部下達によぉ……ッ」

「んーっや、やぁッひっちゅう、や……さっんむ……!」


 ぐぐっと身を屈めた中原が律動を緩めながら小夜の口を覆う手を外させ伝う唾液を舐め取り、乱れた髪に指を通し後頭部に手を添え引き寄せそのまま小夜にキスをする。

無意識にか押し入ってきた舌へ自ら舌を絡める小夜の呼吸すら奪う貪り尽すようなキス。行為に慣れたとは言え余裕など無い小夜とは違い中原は彼女の動作ひとつが堪らなく感じていた。

赤みがかる明るい茶髪を自ら求め縋り付く小夜に最後の追い込みとばかり、泥濘の中を痺れる快楽を撒き散らしながら入っては抜けていく。

圧し掛かる中原が動く度に粘土の高い絡みつく粘着音が絶え間なく奏でられ、酸欠に喘ぐ小夜の中は当に限界を迎え小刻みに痙攣してもなお中原自身を放そうとはしない。

好きだと全身で訴えられるのを肌で感じながら中原は溶け入りそうな熱さに薄い被膜越しに欲をぶるりと震えながら吐き出す。満たされた思いが次も欲しいと傲慢にも深呼吸をし始めていた。


 少々物理的に重く感じる薄い被膜を外す為に荒い呼吸を全身で整えたがる小夜から中原は名残惜しくも離れる。するとぷはっと大袈裟な息の吸い方をして全身の力を抜き忙しなく胸を上下させる。

その間に最低限の動作で被膜を外し中身が零れないように口を縛る。もう用はないと言いたげに適当に絨毯の上へ放ると着地する場面を見る事なく、中原は萎えた自身を擦りもう片方の手で新品を出し口で封を切る。

酸欠状態の小夜は瞼を閉じて必死に呼吸を整えている為に再開される行為の兆しに気付けていないらしい。

 
 もう一度この体を食べたい。その強い欲求はすんなりと実を結び実戦で身についた逞しい腹筋につかんばかりに育つ自身へと被膜を二秒で被せた。

中原はうっとりと目を細め自然と浮かぶ笑みに歯を見せ笑い声を軽くあげた。

訝し気に気怠い動作で見上げてくる小夜の太腿を膝裏から付け根までじれったく撫で下ろすと火照る肌は電流が走り抜けたようにびくりと跳ねてしまう。

快楽が残る体。指先だけで敏感に反応する肌を知るのは中原だけ。その事実は未来永劫変わる事は無く、小夜を色んな意味で欲しがる野郎共へ扉一枚分から漏れる声を聞かせてやるのも自慢と独占欲に違いなかった。


「はは……小夜」

「……何ですか」

「もう一回食わせろ」

「は?ーーっふ、ぅううッ!?っひ、……ッ!ンっんんンッ」


 異能力を使うまでも無くありのままの重みを持つ太腿を肩にかけた中原は、もう片方の太腿を跨ぎ体の下にし霰の無い姿になった小夜の中へ……容赦なく入り込んだ。

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