番外編

□魔性の男
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 呼吸がままならないのだろう。声がくぐもって、跳ねる体が汗ばんでも尚赤司の中は酸素を求めるがごとく敏感に収縮しては絡みつく。

顔を隠すように赤司が首元に腕を回しキツく抱き付いてきたが、濡れる胎内の奥まで突き入れてしまえば白い体が弓状に反り返り、艶やかな声が無粋なネクタイに吸い込まれていく。


 乱れた制服から覗く赤く腫れた胸の突起が汗で濡れて艶やかな色で視覚的に誘い込む。

もっと下へ下へと視線を落とせば、均等に割れながらも大人と子供の中間地点特有の色気を帯びる腹部には、既に飛び散った白濁が重力によりトロトロと粘度を保ちながら下っているのが見えた。

片足だけで立つ羽目に陥った為に可哀相なほど震えて体を支えようとする赤司の努力を無に帰す所業は、きっとこの世界で己しか許されていないのだろうとアキラは奥歯まで響く強烈な快楽の味に笑みが止まらない。


「ふ、ふ……っンんんッんっ」

「は……セイジュ」

「ふぅぅ……ッーーん、ンン!?」

 抱える足の角度をより高め強制的に浮いた腰を強く引き寄せ、タイミングを見計らって限界まで突き入れれば、瑞々しい桃に齧り付いたようなぐじゅりと水音が弾けた。

同時に赤司の胎内がビクビクと震えをみせ一気に締め付けて反論を告げてくる。艶やかな声がネクタイに吸い込まれるなんて勿体無いほどに、濃い情交の刺激が一線を飛び越えていく。

「う、うぅぅ!!」

「は……っ」

「んっふぅ、ッ、ン、ぅぅッ」

 突き上げに比例してあがる声が徐々に殺していた音量を取り戻していく。零れる嬌声をもっと聞きたいと思いながらも、人の肩口に顔を埋め続けるその子の耳元で悪戯に攻めてしまっていた。

「……声きこえちまうぞ?」

 途端にぎゅぅぅっと締まる胎内にアキラの喉から、迫る快楽の波を耐える声が苦し気にあがった。

ついでにアキラの癖が強い藍髪を両手で掴み物理的に引っ張り反発してくる突然の暴挙に腰の動きまでも止まらざるを得ない。

頭皮ごと引き抜こうとする強い握力は精の色が濃い雰囲気をぶち壊す悲鳴により、ようやく解放を許された。

「あだだだだだっだぁ!痛いっての!」

「んんんー!!」

「何言ってるか一言も聞き取れねえよ……くっそ、いてえ」

 ヒリヒリと痛む頭皮を撫でようにもアキラの腕はすべて赤司に触れる為に埋まっている。藍髪から抜けていく握力と手の感覚がしたと思えば、顔を埋めていた筈の赤司が身を離して睨みつけてきた。

とはいえども器から溢れるほどの快楽を中途半端に留めた体は普段の利発さからは遥か遠くにいるようで、揺蕩う快楽に期待する瞳の奥に僅かばかりの理性の光が見える程度だ。

口に唾液を吸い込み過ぎて色を変えてしまったネクタイが収まったまま赤司はもごもごと文句をごねている。たった数秒前まで喘いでいたなんて思えない切り替えの早さは流石だと言わざるを得ない。

「だええおへえあおおおえうお」

「だから聞き取れねえって。たっく……」


 元々人に聞こえないようにと赤司自らネクタイに齧り付いたのだが正直邪魔過ぎるのだ。

キスひとつ出来ないのは馬鹿らしいし、腐り切った校内で「生裏ですかありがとうございます!」と感謝を述べる連中が大半を占める環境下では、意味など無いと赤司も知っていた筈。

それでも妙な理性が働いた結果の唾液塗れのネクタイへとアキラは顔を寄せて、角度が変わったことに喘ぐ声が聞こえようと気にせずに、ネクタイへと噛み付き口内から奪い去る。

べっちゃべちゃに濡れたネクタイを疎ましい気持ちを吐き捨てるように床へ捨てると、ようやく触れたかった愛らしい唇がぽかりと開いて小さな舌が扇情的な赤さを帯びていた。


 呆気にとられた顔をする赤司を見下ろしながらふと微笑んだアキラは身を屈め、覗き込みながら……突然止めていた律動をゆっくりと開始していく。

ビクッと身を震わせた赤司が赤みの灯る顔をうっとりと快楽に目を細めて、離れそうだった首元に絡みつく手に力を入れ直す。

覗き込むアキラに見せつけるように艶やかに笑って見せたと思えば、気持ちよさそうに声を零していく。明らかに誘っている様子に同じく目を細め、赤司の余裕を奪う為にアキラは動さを加速させていく。


「んぁ……あ、ぅ……ん」

「余裕だなあ?セイジュさんよ」

「ふふ。そうだ、ぁあッ……ねぇ、もっとーーおれで、きもちよくなって」

 水飴がゆっくりと滴っていくようなトロトロに蕩けた甘い表情。ただでさえ魅力的な顔立ちが功を成し、仕掛けられたハニートラップにアキラはごくりと喉を鳴らした。

どこを見ても完璧な色気に満ちた赤司が「ねえ」だなんて恥ずかし気も無く乞うてくる。

乗らずにいるのも、流してしまうのも据え膳食わぬは男の恥という日本の言葉にさえありがたみを感じながら、抱えていた赤司のしっとりと吸い付く太腿を抱え直し、オネダリを拾い上げた。





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