番外編

□Jealousy Bourbon
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えぐえぐと泣く声と嗚咽が大分治まった頃には休憩時間などとうの昔の事

散々泣きはらした赤司に無理に聞かずにただ柔らかい赤司の赤髪を撫で続けた










「ひ、ぅ…っふ」

「…(声だけ聞いてるとめちゃくちゃエロいです…なぜ僕は今携帯を所持していないのか…!)」

「、…くろ、こ」

「!はい。なんでしょう」









むく、と起き上がり眼に残る涙を指で拭う

泣き腫らした目の周りは赤くなってて地肌が白い赤司によく映えた







赤司は床をじっと見ながら言い難そうに発した








「…アキラは俺に、あきちゃったのかな…」

「は?」

「桃井とずっと…一緒いるし、俺といるよりテンション高いし…っふぇ」









両手で顔を覆い静かに泣きだした


問題発言をされた黒子は腐大臣としての脳内会議が急遽執り行われていた








テーマ
アキラが赤司に飽きた?




黒子A「ありえないです」

黒子B〜Z「以下同文」



黒子Aがゲンドウポーズで言い放つ内容に皆が首を揃えた



A「なぜなら!頻繁にけしからん動画や写真が送られてくるからですよ…昨日も送られてきてその4日前にも送られています」


おおおお、と前のめりになるB〜Z





A「確かに最近桃井さんと楽しそうにしてますが僕の優秀な耳が聞いた内容は…僕の話しかしてませんでした…」

C「もしかして赤司くんの勘違いじゃないですか?」





うんうんと再び首を揃える




A「勘違いかもしれませんが…桃井さんの僕を見る目付きがたまに獲物を狙う青峰君の様に見えるのですが」


ざわつく会議場

一気に全黒子が青褪める


A「…皆さん。各自自分の貞操は自分で守りましょう。はい解散!」










脳内会議の結論は「貞操は自分で守れ」だった。なんて使えない会議なんだ…


現実世界の黒子はしょぼくれる赤司に自分の観察力でみるアキラの状況からして飽きている訳が無いと告げる


その言葉にようやく赤司の顔が上がる。きょとんとした顔から安心した様な笑みを零す

その可愛さといったら








「赤司くんprpr(大丈夫ですよ。彼は大事な人を簡単に切り捨てられる人じゃないですから)」

「…ぜったい本音と建前逆だとおもう」








ようやく赤司がくすくす笑う。口元を軽く隠す動作はどこか女性らしさを感じさせた







胸に溜め込んでた思いを吐いた所為かすっきりした顔で赤司が言った



「なんだか…あっちに戻りたくないな」




…桃井もいるしね

もしかしたらほんの少しでも恋愛感情持ってた時には、もう顔見てられないと思う…






女々しくも悩む赤司。そんな意見もスパっと切り捨てられる





「じゃああの2人をこちらに連れてきましょう」

「は?」

「赤司くん。いっその事ちゃんと聞いて悩み無くしましょう。女々しいです乙女赤司くんです」

「おと、っ待って!黒子…!まだ心のじゅん、びが…」










黒子がドアを開くとアキラと桃井が罰が悪そうに佇んでいた

あまりのことに赤司が言葉を飲み込む


偶然この部屋を通った風ではなく少し前からその扉の向こうにいて赤司達が出てくるのを待っていた様な…そんな佇まいだ







「桃井さん。赤司くんが聞きたい事あるそうなので部屋に入ってください」

「う、うん。わかった!…テツくんっ」








黒子の名前をぼそっと恥かしそうにいいながら風のように室内に走りバタンッとドアが閉まる


呆然と見送る黒子。アキラの溜息が聞こえ意識を其方に向けると同時に違和感






黒子の前では黄瀬並みに「テッちゃんテッちゃん」と言う筈なのにじっと黙りドアを切なそうに見て視線を逸らす


不機嫌か少し怒っているような雰囲気。珍しいなと感じるながらアキラの隣に移動する







「…赤司くん泣いてました。号泣です」

「…面倒見てくれてありがと」

「いいえ。可愛かったんで見れて良かったです」




暫しの無言。返ってきた言葉には覇気が無くどこかがっかりした様な声色






「キミは今何で怒ってるいや悲しんでるんですか」

「…」




深い溜息。ずるずると壁を伝うように床に腰を下ろす

先程の赤司のように床をじっと見ながら






「俺的にはちゃんと眼を配ってた…不安にならない様に接してた筈だった。でもセイジュには不安だったんだな」






__オレの態度で傷つけちまったな、て後悔してた










黒子が後を追う形で腰を落としそれとなくアキラの顔を盗み見る

吐き出した言葉のように後悔を表情に滲ませて無理矢理笑おうとして失敗してる。心からの言葉なのだと直ぐに察した










「身体的に満たされても精神的に満たされるとは限らないんです…僕の黒歴史で盛り上がるより大事な彼女さんを優先しましょうね」



近日送られてきたけしからん動画も写真も赤司はそれとなく元気がないようにも見えた気がする











にっこり。にぃっこりと黒く微笑む

黒歴史、の所でとても強調された言い方がアキラの恐怖心を煽る


こくこくと首を振る。と同時に扉が開く




出てきたのは嬉しそうな桃井。入れ替わる様にスッとアキラが室内に入る







すれ違った瞬間桃井が囁いた

「赤司くんの嫉妬、かわいいね」

それに口元をあげて囁き返す

「…でしょ?自慢の彼女なんだよ」


視線の先の何故か疲れ切った赤司を留めたままドアをしめた












パタン









居心地悪そうにおどおどしてる赤司に大股で近づき座ってる彼をガバッと抱き締める

びくっと大袈裟な程揺れた肩は赤司を苦しめたアキラの落ち度だと理解していた


優しくなだめ赤司が無意識に入った力を抜くまで背中を撫で続けた








やがて力を抜きポスッと肩口に顔を埋めくぐもった声のまま思いを伝える





「、桃井が全部話してくれたの」

「おう」

「桃井が好きなのは黒子でアキラから色んな黒子の話を聞いてただけって」

「ん」

「赤司くんの彼氏さんをお返しするから…寂しい思いさせてごめんね、て」






赤司の頭をくしゃくしゃにしアキラの膝上に赤司を乗せる

抵抗はせず髪を梳く手付きに甘える








拗ねた声で小さく文句が聞こえた




「………ばか」

「ばかだったな。オレが」

「……俺だけ、俺だけに触れて」




他の子にあまり触れないで。ちゃんと俺を見て








束縛染みた言葉を紡ぐが決して嫌そうな態度を見せずどこか嬉しそうに赤司を見て「了解」と言う

茶化すような声では無く真剣味を帯びた声色










「セイジュ」

「…ん」

「もうお前しか見ねぇから…安心してほしい」

「アキラ、」








そっと触れるだけのキスを交わす

赤司だけを視界に映す現状がずっと続くことだけで赤司の心は満たされていた

嫉妬が、吹き飛び掻き消されるほど






単純なキスひとつで赤司は幸せそうに微笑む

勘違いとはいえ嫉妬のあまり泣いてしまう程アキラのことを好きなのだと思い知らされた気がした












「ふぁ、ん…もう嫉妬で、泣くのやだな」

「セイジュの泣き顔は人気あるんだぜ?」

「、こんな苦しい気持ちで泣くのは嫌」

「気持ちいい方で泣くのはいい?」

「………うん」








スルリとアキラの背中に赤司の手が回りTシャツに縋る様に爪が立てられる






離さない。そう暗に伝えられてる気がした

















嫉妬も悪くないんじゃないか。そう口元をあげるとギリリと強く爪を立てられた










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