番外編

□全てボクのモノ
2ページ/2ページ












結婚5周年当日


カードや花束を膨大に送られどれだけ祝福されてるのだと2人して照れながら笑った










セイジュが欲しいといったモノを置く為の場所を急遽リフォームし色々設置して貰う

多めのチップを払い送られた花束を少し感謝の気持ちとして押し付け引き取って頂く











出来上がった場所を見てわくわくと雰囲気からも表情からも読み取れるセイジュの期待感はマックスだ







ならどこまでも満足してもらうか







お前の為なら何でもしてやる、とセイジュに言えば嬉しそうにふにゃ、と笑みを向けられ












「アキラの為ならボクも何でもしてあげる…なんでも、ね」












その甘い表情に声にアキラが期待感をマックスにさせる

セイジュの服に手をかける前に赤髪を頭のトップでお団子にしピンで外れないように止める


髪をとめ現れた白い項にキスマをつけ今度こそセイジュの服に手をかけた


























ぶくぶくぶく


体に纏わりつく白い泡

2人で入っている猫足バスタブの中は白い雪原のように泡風呂と化していた



大理石の床にぽたぽたと落ちてもその量は変わらずセイジュが泡を両手で掬いふぅ、と息を吹きかければアキラの顔に小さくかかる


泡につつまれはしゃぐセイジュを愛しくて仕方ないと優しく見守っていた途端に攻撃をくらう

慌てて泡のついた顔を手で拭う







「のわっ」

「ボクだけが楽しむなんてヤだよ。アキラも楽しんで」

「オレはセイジュと風呂に入れただけで楽しんでるぜ?」

「もっと、だよ」








とりゃ、と泡を掬ったセイジュがバスタブの中を膝で歩き近付いてくる

転ばない様に長い手を伸ばし腰を支える








「いつか転ぶぞ」

「転んだら転んだでおもしろそう」

「…苦くて泣いたってしらねーぞ」

「?っふあ!っぷ」







いまこの現場に黒子がいるなら転ぶフラグが立ちましたね!と言うだろうが彼は日本にいるのだ

フラグがたったなど見える筈も無い2人はセイジュがツルッと滑り泡に全身沈むなんて思いもしなかった訳だ










「だ、ばかっ」

「ごほ、けほ…」










きゅ、と心臓が縮んだのはお互い様だろう

慌ててアキラがセイジュの脇に手を回し掬いあげる

急な事に泡だらけのセイジュは咳込み泡を多少口に含んでしまったらしい





顔面の泡を乾いたタオルで拭いてやりそのままアキラの膝の上に乗せる






溜息を吐きコツンとセイジュの額を小突く





「…心配した」

「うー…ごめんなさい。でもどこもケガは無いから安心してね」

「これでケガしてたら製作会社訴えて潰すからな」

「怖いこといわないの」







にへら、と向日葵みたいに笑うセイジュにアキラは仕方ないなと苦笑




そのまま軽くセイジュにキスを送れば泡だらけの腕がスルリと首に回りキスが深くなる

腰を支える手はたまに柔い小尻を揉み入り口をなぞればピクッとセイジュの体が揺れた


舌を触れさせると普段と違い洗剤に近い味が伝わり眉を顰めながら互いの混じり合う唾液により少しずつ苦みを消す



ようやく消えた頃。名残惜しそうに舌を抜けば銀糸が互いを繋ぎフツ、と融けた






息絶え絶えのセイジュがぽーっと顔を真っ赤にしてじぃっとアキラを見て愛しそうに笑みを浮かべる

荒い息をそのまま必死に言葉を紡ぐ








「にが、いね」

「最高に、苦かったな」

「でも…この泡風呂な、らアキラと長時間…入ってて、も逆上せないから」

「…それ目当てでコレ欲しかったのか?」





バシバシと強請られて買った猫足バスタブを叩く







こくん


息が大分整ったらしく顔は変わらず赤いまま不服そうに口を尖らす




「普通の風呂だとアキラと一緒は無理じゃないか。シャワーでアキラは済ますけどボクは満足できないし」

「セイジュの風呂の温度は熱湯だから仕方ねぇだろ」

「沸騰はしてないじゃないか」

「40後半とか入ったら溶けるんだよオレの勘が告げてる…!」








湯に足先つっこみビリビリとしたのは生まれて初めてだった。出会ってまもなくの話である








ちゅ、ちゅ

話の合間に触れるだけのキスを交わす。触れる肌が泡越しで強く抱き寄せれば少しだけぬる、と滑りキスする場所がズレて2人で苦笑








「ボクはホントはもっと前からアキラとお風呂に入ってこうやって…いちゃつきたかったの」









泡ならきっと逆上せる心配もなく気のすむまで触れ合える

1人寂しい思いもせず傍にいたかった…なかなか言い出せず我慢していた









節目の今言うべきなんじゃないかと思っていた












アキラがじっとセイジュの溜め込んでいた想いを吟味しながら静かに胸に落し受け止めた






思った事はすぐにいえばいいのに。変なとこで溜め込んでしまう可愛い子…いや嫁







セイジュが返事を返さないアキラに次第に頭を垂れはじめしょぼんとした雰囲気を醸し出す





変な誤解をしてるセイジュの顎を掴み鼻先にリップ音をたてキスを落す

きょとんとコチラを見る赤眼に微笑み返し不安を払拭させる











「これからはココをたくさん使っていこーぜ。未来ではココに入るのが当たり前になる位に…」


耳先に口を近づけ甘く囁く


「セイジュが望む”イチャつく”こともオレが叶えてやるよ」















ビクッと震えたセイジュ





イチャつくことが色んな意味が含まれている事を改めて自覚したらしくカァァ、と耳先まで赤くなっていた




アキラがセイジュの顔を覗きこみ至近距離で視線を合わせれば本当に恥かしそうにコチラを見てくる

でもどこか大きな赤眼には期待と安堵が見えて…求められている気がした










きっとアキラの藍色の瞳を覗きこんでいるセイジュも同じ事を思っているのだろう




甘い雰囲気がとろり、とドロドロに溶けていく












「これからもよろしくな、嫁さん」



「…よろしくね旦那さm…っ」











全て言い終わる前に赤くなった唇を奪う













これまで我慢したオレの強固な理性を褒めてくれよ。セイジュ














またひとつ。思い出が増えていく




また来年。この日にお前という存在に感謝していく




重ねていく年月もきっと、一緒ならなにも怖い事は無いのだろう











__Happy 5th Wedding Anniversary







.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ