黒子のバスケ
□オリオンのままに 22Q
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妖しげな捨て台詞を吐き赤司の手を振り切り個室を抜け洗面台にいるアキラの元へ逃げ去った黒子
赤司は黒子の発言にサァっと青褪め慌てて後を追いかけ洗面台でアキラに密告してる黒子を背後から羽交い締めをしてアキラから距離を置く
「やめろ!本当に密告するバカがどこにいるっ」
「此処にいます!ついでに今まであった全てを報告しました!いま僕は輝いてますっ」
「変な達成感なんて捨ててしまえばか黒子!」
「ばかでいいです!」
「耳噛むぞ」
「今日完売した自筆の同人誌のハードな内容すべてアキラくんに伝えて実行してもらいますよ!それでもいいならどうぞ!」
「かぷり」
「!!!」
かぷりといい噛み具合を発揮した赤司により黒子は凍りつく。何度もかぷかぷと噛み付きその度に黒子の体は凍り付きショックのあまり身動き一つとれないらしい
パラパラと先程までなかった薄い本を見てるアキラが読み終わったのか本を閉じ置くと黒子を瀕死に追いやる赤司を楽しそうに見た
「征ちゃん。おいで」
おいで、と手招きする動きに誘われるまま黒子の耳から口を離しふらふらとアキラの元へ近寄りハグされるのを嬉しそうに微笑みながら甘受する
つい、と口を指でなぞられそっと唾液を拭われる。そっとアキラの顔を見ると力尽きてる黒子の姿を見てて乾いた笑いを浮かべてた
「征ちゃん。テッちゃんは征ちゃんより初心なんだからキスハグは徐々に慣らしてあげないと今みたいに倒れちゃうよ」
「…でも黒子はそういった情報俺達より知ってるじゃないか。だからちょっと位…」
「だーめ」
「あ、ぅ…!」
黒子が赤司にされたように今度は赤司がアキラに耳をかぷりと甘噛みされほんの少し喘げばトドメとばかりフッと息を掛けられ腰が抜ける
アキラが回した腕のお陰で床にへたり込む事は無かったが自力で立つ事が難しくなった事に不機嫌になり赤司がアキラを睨むがまったくダメージが無い様だ
ひょいと赤司を肩に担ぎバランスを崩さない様に軍服を掴ませ落とさない為に両足を片腕で軽く抑えると立ち上がり倒れ伏す黒子の元へ歩き再び屈む
急に床に近付いた景色に赤司がわあわあと騒ぎながらアキラの背中側の軍服を力強く握りしめる
「うあ!お、落ちるっ」
「征ちゃんは軍服離しちゃだめだよ?」
「…扱い酷いな。しゃがむ時は膝上がいい」
「はいはいっと」
要望に応え俵担ぎから膝上に横向きに座らせアキラは床に座り赤司の腰に腕を回しながら気絶気味の黒子に声をかける
「おーいテッちゃん!眼の前に可愛い受けッ子がいるよ」
「っなんですと!……あ、こんにちは軍人さん」
「…アキラは黒子専用復活の呪文を習得した。赤司は黒子の弱点を記憶した。黒子の体力が30下がった」
「変なテロップ口ずさまないでください」
むくりと起きた黒子は疲れ切った溜息を吐き横抱きになってる赤司の軍服の腹部をベロッと捲り上げ下が素肌では無く衣類を着ていた事にがっかりと肩を落としていた
赤司が問答無用で黒子の頭を叩く。スパーンといい音がした
キリッと真面目な顔した黒子が患部を撫でながら力説し始める
「バカですか赤司くん。軍服の下は素肌にするのが魅力的なんですよ!」
「専用のワイシャツを着ただけでなんで俺が怒られるんだ」
「後で素肌に軍服の上半分だけ着せた湯上りの征ちゃんの写真送るよ」
「!?」
「さすがアキラくん!僕の操縦が手慣れてますね」
きゃっきゃっと喜ぶ黒子を尻目に赤司がアキラをよくも売ったなと恨めしそうに睨むと怒らないでよと耳を甘噛みされ背筋がゾワゾワと震えた
弱点の耳がそれを快楽と捉え「…ぁ」と喉の奥からか細く高い声が漏れ慌ててアキラの軍服に顔を埋め羞恥に染まる顔を隠す
幸い黒子には聴こえておらずアキラだけ聴こえたらしい
「そういえばさっき完売って言ってたけど全部売れたならボク等帰っていいの?」
「あ、はい。いいですけど折角軍服のコスプレしてるのにもう帰るのって残念ですね。ぶらーっと会場を回って客引き連れてきただけじゃないですか。勿体無いです」
「そう?だってまたテッちゃんが呼んでくれたらボク等はこういう格好するから名残惜しくは無いよ。それに帰った後が本番みたいなものだし…ね?」
ふいにアキラが語尾を低く出し黒子じゃないもうひとりの人物へ問いかける
赤司が聞き慣れた低音への期待に無意識に震えたのをしっかり抱きしめ実感しながらアキラが再び立ち上がり洗面台へ置いてた薄い本を腕の中の赤司に取らせそのままトイレを出る。どうやら本当に帰る様で更衣室へと向かってるらしい
後ろから黒子がひょこひょこついてくる。その黒子から赤司に本見てみてくださいと声を掛けられ赤司が表紙を見ると思わず無言になった
表紙は今赤司とアキラが着ている黒い軍服を着たこれまた自分たちによく似てて髪の色だけが違う人物2人が至近距離で抱きあっている。本の下の方に大きくR18と烙印され自分たちがネタな本なのだと赤司は察した
同時に先程アキラが読んでた本がこの本だということも理解。恐る恐る無言で自分を運ぶアキラに内容の感想を聞くと非常ににこやかに弾んだ声が返ってくる
「__手錠何色がいい?」
失敬。返って来たのは感想では無く手錠の色の要望だった
手錠という言葉が出てきた時点でアブノーマルな内容に違いない。眼の前が真っ暗になりそうだ
ハードそうな兆候に眩暈が起き掛けてる赤司に変わり腐男子モードonの黒子がノリノリで答える
「ここは原作に基づいて黒の手錠にしましょう!」
「黒かぁ…なら玩具も統一した方がいいかな。ボク持ってないんだよね大人の玩具」
「ラブホになら置いてるんじゃないですか?」
「ラブホ?何それ」
「…え知らないんですか。赤司くんと2人で行ってきたらどうですか」
「にやにやするな黒子。あと大人の玩具とか手錠とか言うな。俺は絶対使わせないからな!アキラ!」
「えー」
周りに誰もいなくてよかった
こんな酷過ぎる会話を聞かれた日には恥かし過ぎて外に出れないくらいだから、と赤司は途方も無い会話(ほぼ猥談)を聞き流しやっと辿り着いた男子更衣室の開くドアに眼を顰めた
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