番外編
□裏赤司の終着点
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セイジュとボクは違うんだよ
知らないフリしても、見えないフリしてもさ
現状から眼を離さない方がキミの為だと思うけど?
「て訳で…押し倒して見たけど。今どんな気持ちだい?」
「非常に困惑してる」
まったく、可愛くないな
そう人の上で肩を竦めたセイジュ…いやもう一人の赤司だった存在
若かりし頃に会っていたとはいえ何年も見なかった彼と会う事でさえ眼を疑う光景だというのに
「ロウ…」
「何かな」
「久しぶりに会った俺を押し倒す理由は?」
「アキラがセイジュを押し倒す理由に意味が無いように、ボクも意味なんて無いさ」
眼を細め艶やかに微笑む姿に、全力で溜息
高校の時は、整った眉毛が見える程短かった前髪も、色違いの猫眼に被さる
人の顔の脇に手をつく姿勢の為、赤い長髪がカーテンのように流れ、視界を狭める
その僅かな隙間からか細い光が零れ…まるでロウとの再会を祝福されてる気分だ
あの頃は全く俺に触れなかった白い手は、ペタペタと色気を全く感じさせない手付きで顔面に触れてくる
額。こめかみ。頬。耳。鼻…もう一周して額から、なんて
…なんだか子供が親を起こしにきたような感じだ。愛撫というより肌質確認?
愛情というよりも友情寄り、もしくは親愛寄りの触れ方はむず痒くて
まるで、はじめて恋をした相手に触れるような手付きで。その癖興味津々な顔をして触れると来た
ロウはそうやって相手に触れるのか。思わず笑みが浮かんでしまったのは不可抗力だ
触れる手を握りロウを見て教えてあげた
「…俺は壊れねえからもっと力を籠めていいんだ」
色違いの瞳をぱちくりさせる姿はセイジュと全く同じだ。コクン、と揺れた頭を見て強烈な痛みが頬を襲い、反射的に叫ぶ
「いだだだだだ!!いってえええッ」
ぱちんっ
慌てて放された頬に手をあて痛みに身悶える
下手にビンタをされるより痛むってどういうことだよ。赤司マジックか馬鹿野郎が!
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