番外編

□unbalance him
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例えば、なんて言葉無意味だと思う

言葉遊びに等しい。情を酌み交わす最中に考えるなど最も無意味だろう、そう思うのに使ってしまう



「ひ、っあぁ!あっアキラ、ふぁぁっんんン!」


すがりつく白い手が限界を訴え深く背に爪を立てる。ぎりり。爪を切ってあげた筈なのに痛い

でも知ってる。これは嫌悪や痛みからでは無くオレが彼に与える快楽から起こるものだと

だから、ホッとする

彼が必死にオレの名前を呼び快楽を求める姿に。求められてる、愛されてると勝手に安心してる自分がいる

「セイジュ。例えばな」

「ん、んんンっあ、ふ…やぁ、ンっ」

「オレがお前のもっと奥に入って抉って、鳴かせたとする」


腰の動きをとめる。泣きながら見上げてくるセイジュの荒い呼吸が無意識に自身を締め付けてくる

彼の白濁に濡れる腹を撫でる。それだけでヒクッと敏感に揺れる…可愛い

「セイジュが嫌がってもこの細い腰力ずくで抑えて欲のまま、激しくして…中にだす」

まるで強姦だろ。馬鹿みたいだろ。笑っちまうだろ、恋人であるお前に強姦してやろうかなって思ってる

受け止めてくれなきゃオレお前をどうするんだろうな。わかんねぇ

捨てるんだろうか。手放すんだろうか

セイジュを?出来るわけねぇだろうが。わかってんのに、


お前を試してるオレがいるんだよ。セイジュ


「セイジュ。オレのセイジュ…今日くらい優しいオレは捨てていいか?」


赤眼が徐々に理性を取り戻してる。汗ばむ髪を掻き上げてあげるとふと溜息を漏らされる

呆れたらしい。でもすぐに優しく笑ったセイジュ


瞠目してるオレの頭を引き寄せ包み護るように抱き締められる

…あったけぇ。このまま、セイジュの胎内にオレが入ったまま眠りたい

ああ。お前に負担ばっかりかけてるオレは初めから優しくなんてなかったな

きゅ。頭を抱かれ撫でられる。まるで母親だ。なんでこんなに安心するんだろな

例えばセイジュと別れたらオレ死ぬだろうな。なんて思うほど愛しい温度が、オレを包む


「…おいでアキラ。俺を、愛してくれるんだろ?」


びっくりして顔を向ければへにゃ、と照れて笑うセイジュ

なんで。ばかだろ。犯すっていってんだぞ…頭を色んな罵倒が飛ぶ。でもそのどれもがセイジュを心配してる言葉に繋がる


どうしてお前はオレを受け入れるんだ。きっといつかセイジュを傷付けてしまう危うい存在だぞ

お前がこんなにオレを受け入れるからXXされてると勘違いしてしまうだろ


そんな想いに気付かずオレに抱き付いて幸せそうに笑う。心底震える言葉を添えて


「ーー愛してるよアキラ」


ああ。お前から抜け出せない


震える声で小さく伝える

「…犯すなんてウソだから」

「そっか。アキラなら構わないのに」

本当に構わないのだろう。そんな声色


「ーー例えば、」

いつもは言葉遊び。でも今はニュアンスが変わった気がする…いい意味で


「オレがお前を…ぁぃ、してるっつったら、どうする」


言ってしまった。人生で決して言わないと決めた言葉を

……固まるセイジュ。セイジュはよく言ってくれるのにいつも言わなかった言葉

信じられないのだろう。オレだって信じられないよ。お前の為に大きく一歩踏み出すほど、ぁい、してるなんて…


固まった顔がパァァと綻びる。飼い主見つけた愛犬かお前…それくらい嬉しそうで一瞬でもセイジュを幸せにできた気がした

「〜〜っ俺も愛してる!愛してるよぉっ」

「だぁぁぁ!まだ言ってねぇだろった、例えばの話って」

「アキラから愛してるって言われたよ、くろこー!」

「……」


キャッキャ歓びに騒ぐセイジュ。手を外させ覆い被さり勢いよく腰を打ち付ける 。パァンと肉が当たる音が断続的に響く

「んぁあ!?う、ま、っあ!」

またスルリと手が背中に伸びる。抗議の爪を立てられたって止まる訳などない

セイジュがなにか言ってる。幸せそうに…仕方ない少しだけ緩めてやるよ

「ふあっあ、ふふ…っァ、ぃ…るぅっ」

「…きこえねーよ。ばか」

「し、てる…くぁっあァ!」

「…きこえねーって。ほら、もっかい」

なにを言いたいかわかるから自然とこちらも笑えてくる。馬鹿みたいだな?二人して笑ってるなんて


「あいっぃ、し…っああん!、てる、の!」

「あいしてる?」


こく、こく。頷き眉を下げて微笑むセイジュ

XXしてる。ぁXしてる。ぁいしてる。あいしてる。愛してる

この言葉に殺されそう。殺されてもいいや。相手がセイジュなら



「……愛してる、愛してる。きいてんのか?おい」

「んああっや、き…ぃてっはぅ」

「お前だけ、本気で、愛してる」


馬鹿みたいに愛の言葉を囁く。セイジュの顔が羞恥で染まろうが今日は今までの分もいうと決めた。今決めた

「〜〜っ俺の方が愛してるの!」

「…上等だ。セイジュ…耳出せ愛してやるから」

「耳だけは!やぁぁんっ」

お前の弱点が耳でよかった。逃げ出そうとする腰を捕まえ打ち付けながら囁く

「みみ、ぁあ!や、っあ、やらぁ…!」

「セイジュ、逃げんな。愛してるから…受け止めて。オレの全部」

「〜〜〜!!!」


胎内に弾ける前にセイジュが白濁を散らす…耳が性感帯て大変だな

えぐえぐ泣き出す涙を舐めつつ愛してるを繰り返す

「どうした?可愛いな。愛してるぜ」

これでもかって位甘い声。好きでたまらない。愛してるんだ、馬鹿みたいだろ?

ぜんぶ、お前がオレを変えたんだよセイジュ




ーー例えば、なんて今日からやめにしようか


ーーお前はそんな言葉より愛を囁いた方が嬉しそうに笑うから







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