番外編
□If my wishes can be true
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アキラが誠凛所属で赤司とは遠距離恋愛中
ウィンターカップで再会
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普段は滅多に使わなくなったメールの方に誰かから送られてきた
それは昨日久しぶりに長電話をした相手
明日いいことあるかもよ、なんて妙な事を最後に言っていたけど…これのことかな
遠距離恋愛のお相手である赤司征十郎からキセキのメンバーとアキラへ一斉送信した内容を読みそっと笑みが浮かぶ
近くにいた木吉先輩へと笑みを浮かべたまま声をかける
「木吉さん」
「お?何だ何だにやけた顔して」
「…彼女に会ってきていいですか?」
何故か誠凛メンバーが固まる
ガバッとリコに両肩を掴まれてギリギリと力が入ってるらしく若干痛い
鬼の形相をしてるリコがドスの聞いた声を出すが相変わらずにこにこしてるアキラ
「藍澤くん…?どこに、フラフラと、行くつもりだ…?ダァホ!」
「リコさん。日向菌伝染してるよ」
「藍澤ッダァホっ!先輩をウイルス扱いすんなっ」
「本家キタコレ」
「伊月は黙ってろ!」
ぐわんぐわんと揺すられながらも大雑把に説明して渋々許可が下りる
やっとシェイクの刑から解放され常人なら眼を回す所を一切その様子を見せずに足早に会場の外へと歩き出す
表情は晴やかでこれから会える恋人の姿に湧きあがる暖かい想いが胸を締め付け全身が早く会いたいと叫んでいた
「…久しぶりに顔、見れるんだなセイジュ」
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キセキの世代
そう呼ばれる彼等は集合していた。良い意味でも悪い意味でも視線を集めながら
黄瀬に背中から抱き着かれながらも平然と黒子が他のメンバーに問う
「あれ?アキラくんまだ来ていないんですか。僕より先にココに来た筈なんですけど」
「まだ来てないっスよ〜黒子っちー…!」
「(イライライライラ)」
黄瀬がハートを撒き散らせながら黒子に犬の様に擦りよるのを好ましく思わないのが青峰
高校にあがった所で相棒熱(腐)が冷める筈も無く嫉妬を隠さず声を荒げて黄瀬に文句を言い放つ
「黄瀬ッ!いい加減離れて俺にテツを返せ」
「…何スか。青峰っちのものじゃないんだから別にいいじゃないっスか」
「見てて気分悪いんだよ。ホラいいから返せ」
「嫌っス」
バチバチバチ
醜い男の嫉妬が炎をあげぶつかり合う
求められてる黒子は2人の頭部にある赤いフラグが数年前から未だ消えていない現状に無言で現実逃避
中学卒業時とまったく変わっていない様子に安堵と慣れの溜息をつき緑間が袋をあけようと格闘している紫原へ声を掛けた
「紫原。灰崎はどうした。アイツも呼び出されただろう」
「さー?灰ちんは俺等よりも彼氏優先なのは昔からかわんないっしょー」
「…本当になんでキセキの世代とその周辺はホモ率が高いのだよ…!」
眼鏡をクイッとあげる緑間を横目で見た紫原は開かないお菓子の袋をパスし緑間が受け取る
無言で視線を交わす。溜息をついて袋を開け紫原へ渡す
第2のオカンポジションは相変わらずの様だ。ちなみに第1は赤司である
灰崎とアキラが不在のその場に赤司がひょっこりやってきた
赤司が辺りを見回しキセキの世代の面々に声を掛ける
「やぁ皆。すまないおくrtryぷぎゃ」
「赤司くんっ!!赤司くんyeah!」
「黒子っち!いやああああああ…!」
感極まった黒子が黄瀬を背につけたまま赤司へ抱き着く。大型犬と小型犬が飛び付き急激な事に赤司が耐え切れず3人で倒れ込む
特に青峰が全身蒼白になりあわあわと皆でかけより黄瀬をペイッと剥がし黒子と赤司を優しく立たせる
「俺だけ扱いが違うっス!」
「ある意味特別扱いじゃん黄瀬ちん」
「破格の扱いなのだよ。立てるか元帝光チビーズ」
「「緑間テメーぶっ殺す」」
「い、いまのは青峰が昔影で言ってたのが勝手に口が…!」
「やべ。聞かれてたのか」
「天誅!」
「痛”ッ」
影の犯人は青峰。黒子が青峰の脛を強めに蹴り蹲る
元帝光チビーズが青峰を蔑んだ目で見下しそっと巨人共から距離をとる
距離を取られたことにショックを隠せない巨人共が必死に謝った事により何とか距離を戻してくれた
暫し周囲の無駄に集まる視線を観察した後に赤司が黒子へ不安そうに問う
「アキラは?」
「実はボクより先にココに来てる筈なんですけど…まだ来ないですね」
「、そっか」
徐々に赤司の頭が下がり再びキセキの世代がざわめく
「…(あ、コレもう少しで泣きますね)」
ぴっ
泣きそうになる赤司を画面に納め録画を開始
画面にひょこっと紫原が覗きこむ
ニュース番組で悪戯に映り込もうとする一般人を見てる気分だ。激しい不快感に尖った声で黒子が怒る
「邪魔です。赤司くんの泣く瞬間撮れなかったらキミの相棒の裸体を腐の民ネットワーク上に晒しますよ」
「いーんじゃなーい?」
一瞬黒子の呼吸が止まりすぐに深呼吸。腹にありったけの空気を溜め空気を裂くように声を張り上げ伝令を下す
「…会場内の腐の民よ!陽泉高校の氷室辰也を一刻も早くこの場に連行せよ!」
連れてきた民には緑間のパジャマ姿の写真を高画質で数枚与えるぞ!
キセキの世代全員が耳を反射的に遮る程の声量
同時にありとあらゆる場所から「腐大臣様のご命令!ラジャー!」と荒ぶる声が聞こえ「まじかよw真ちゃんw」と聞いたことがある奴の声までも聞こえた気がした
ばたばたと人がこの場を去る音が消えた頃緑間が頭を抱え蹲る
この世の終わりを見たような必死の形相のまま声を震わせ呟く
「いつの頃のパジャマだ…せめて高校、中学でもせめて3年ならまだ取り返しがつく…!」
「中1からですね」
「だああああああ…!!」
緑間が黒歴史に耐え切れず青峰の背中へ頭から突っ込み現実逃避
情けない声を出し青峰が顔面から階段の踊り場に転びそのまま動かなくなった
その背中の上で気が狂ったように喚く緑間
黄瀬が本気で引いていようが構わず「ネグリジェは俺の趣味じゃない」だの「ピンクだったのは偶然だった」だの叫び散らす
普段の冷静沈着な姿など皆無
その姿をヤンデレのネタにしようと撮る気満々な黒子だがスマホを紫原に奪われ天高く上に手を伸ばされれば誰が届くのだというのだ
必死にぴょんぴょんとジャンプをするが届く筈も無く唸りながらも兎のように跳ね続ける
「ほら〜黒ちん。もっと兎になりなよー」
「は、はぁっは、〜〜!返して下さ、い」
「やーだ」
珍しく紫原がお菓子よりも好奇心を曝け出す相手。にやりとほくそ笑む姿はさながら悪魔の様に黒子に見えた
挑発され更にぴょんぴょん跳ねる姿に黒子厨の黄瀬が鼻を抑え指の隙間から赤いものが伝う
心の底から湧きあがるなんとも言えない高揚感。これが萌えというのか
「黒子っち、かわい…」
ファンの子が見た瞬間熱が覚めるであろうどろっどろに融けきった表情…これは黄瀬の通常営業である
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