番外編

□嫌なものは嫌!
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元旦

年の初めにはお節と着物と…















「姫はじめだよ」












畳に押し倒され腹には赤司が乗り上げる。頬が火照り紅い着物(女物)に包まれてる赤司は甘い声で突拍子も無い上記の言葉を発した








唐突も無いことに疑問符をあげるアキラ。そんな姿など気にも留めず赤司がアキラの紋付き袴の胸元をバッと広げ貞操の危機を感じたアキラが慌ててその不埒な両手を捕まえる











「何なの、何なの。ちょっと待ってよ征ちゃん…てか手あっちぃ!」

「だぁかーら」










耳元に熱い吐息混じりの甘い言葉。トドメに熱過ぎる唇で耳を甘噛みされ余裕なんて吹き飛ばされた










「ひめはじめ、しよ」












強烈な色気に、本能のまま赤司の帯に手をかけた









*********
















熱い。熱い。熱い



全部が熱い。着物を中途半端に着たままヤってる所為かもしれない


体中触れられて奥まで埋められて動かれて愛を囁かれて名前を呼ばれて、嬉しくて熱い


でも、いつもと違う”物”が赤司の滲む視界で小さく存在し揺さぶられながら睨みすぐに瞼を閉じ喘いだ









「は、ッぃう、ンやぁ…!」

「…痛い?んな訳ねーよな。オレがあんだけ慣らしてあげたんだから」

「ぁあンっ」








背後から突かれイイ所を擦られるだけでビリビリと体に電気が走る。度の過ぎた快楽が痛みを消去しアキラから与えられる刺激すべてを受け甲高い声が上がる


痛みが感じない程慣らされたのは事実。なのに「嫌」と「痛い」を喘ぎに混ぜて呟く赤司









本当に痛いのかもしれないと腰を止めれば半端に止まった律動に耐えられず赤司の腰が揺れ弱い快楽を追いかけた

アキラが一切動かずとも赤司の小さい喘ぎとあの言葉、それに部屋を埋めるほどの水音が響く








十分濡れてるくせに痛い?…意味分かんねぇ









脱げ掛けの赤司の紅い着物がヒラヒラとゆっくり動くのを見ながら細い腰を強く掴み肉を打つ音が再び加わる


ビリリッと叩きつけられた快楽に震え畳に上半身を崩しありったけの律動を歓喜に泣きながら受け入れる




気持ち良くて死にそう、なのに












「ひゅ、っはやぁッんンっは、あ!あ、」













赤司の妖艶な声が速まる律動に比例し大きく速まる

赤司自身から熱いモノが昇ってくる感覚にガリッと畳に短い爪を立て耐えようとするもアキラがワザと前立腺を押し潰す勢いで腰を打ちつけられ耐え切れる訳も無く









「、セイジュ、イっていーから…は、」

「〜〜〜ッッ」












トドメに仕返しとばかり耳に熱い吐息混じりに囁かれゾワゾワと全身が震える

只でさえ真っ赤な顔が限界突破まで赤く染まり切る。絶えず伝う唾液と涙の線が冷たいと感じるほどだ











アキラ…すき、だいすき、すき、すきぃ












溢れる好意が無意識に言葉を紡ぐ。しっかり聞き取ったアキラがふ、と微笑み乱れた呼吸のまま甘く囁く











「…しっ、てる…いーから、」











楽になっちまえ












赤司が最も感じる前立腺を強く擦り最奥までアキラ自身で隙間無く埋め動きを止める


熱く欲を求めうねる赤司の中では正直動きを止めるだけで簡単に白濁を吐き出してしまいそうだ

だが今は原因不明だが痛いと訴える赤司を先にイかせ痛みを軽くしてあげる方が先決と必死に奥歯を噛み締め波に耐える









快楽にびくつく細腰を掴む両手で胸の突起に爪を立てフッと耳に息を吹きかける


声にならないか細い声を上げポタポタと畳に白濁を散らす


そこで何か思い立ったアキラが息絶え絶え脱力中の赤司へ声をかける










「そういえばセイジュにはゴムつけてなかったな。つけるか」











スッと赤司の頭部の横に置いていた小さな箱へ手を伸ばし取ろうとした瞬間…













バシッ















猫が玩具に飛び付く速度さながらバシッと箱を赤司の手が弾き飛ばしアキラの手が空を掴む

眼が点になり部屋の隅に弾き飛ばされた箱を見て赤司へ不思議そうに視線を向ける

暫く行き来した視線の末赤司がチラッとアキラを見てから飛ばされた箱を睨む姿を見てピンッときた














…もしかしてセイジュ…ああ、だから「痛い」やら「嫌」だの言ってた訳か














「…ンとに可愛い奴だな」










かわいい。可愛すぎてもっと苛めたくなる








動揺したのかきゅ、と締まる胎内



ゆっくり赤司の胎内からアキラ自身を抜き「痛みの原因」を慣れた手付きで外しその辺に投げ捨てた



ぺしゃ、と落ちた音に不思議そうに赤司がキョロキョロあたりを見回す



情事中とは思えない姿につい顔が綻ぶ。きょとん、と赤司が首を傾げ畳の上で女の子座りをする








「ねぇなにか捨てた?」

「お前よくその座り方できるな。普通の男はできねーぞ股関節があの世逝きだぜ」

「ねぇなにか捨てた?」

「無視か。たっく…セイジュの嫌いなモン捨てただけだって」

「ゴム?」

「そ。痛いってゴムが擦れて痛かったのか?」

「うん。もう嫌だ、生がいい」








ストレートに生がいいと言われアキラの頭の中で計算式(えろ)が浮かぶ






生がいい+ゴム嫌だ=中で出してくれ







…精液中毒になったらオレの所為か?責任とるから今は実行させてくれ










ローションもほんとは好きじゃないだのぐちぐち文句を言う赤司を押し倒し正常位の格好で最奥へ腰を進める

突然のことに赤司がびっくりしてあまり乱れていないアキラの胸元をきゅ、と握りしめた










「ひぁアっ」

「掴んでていーから、腰に足回せるか」

「う、」







スルリと慣れた足つきで華奢な白い足が絡みつく

よくできましたと微笑みぽーっと頬を染めアキラを見上げる赤司にキスをしながら律動を再開させる


くぐもった声があがり時折酸欠にならないようにキスを止めてはまたすぐに吸い付く


とりあえず赤司の中も外も自分色に染めたくて仕方ない。本能のまま揺すり続ける


気持ちいいのかアキラの腰にまわる足がきゅうと胎内と同じタイミングで力が入りつま先がぎゅ、と縮こまる











「ンん!ン!、ふっあ、あんンン!!」

「んー…、せいじゅ、は…きもちい?」

「〜〜〜ッ!っんあ、は、もちぃ…ーの」

「!きっつ…!ッ」










トロンと蕩け切った表情と声とは裏腹に何度致しても処女のようにキツイ胎内には感服する

本気で絞り取ろうと蠢く胎内を押し切り引き抜いては再び突き入れる


互いに荒くなる呼吸。もうキスをする暇など持てなくて赤司の体をぎゅうぎゅうに抱きしめながら腰を早めた


熱い胎内がひくつき始め赤司が背をしならせた瞬間胎内がぎゅぅっと締まり耐え切れずアキラが白濁を叩きつけた

赤司も追う様に2度目の白濁を互いの着物へ散らす。紅と藍の着物に白い斑点がべっとりと付きトロリと重力に従い垂れた










「く、ンアあぁっあ、あつ…ぅ」

「ーッ、ふ…あっちぃ…」










どちらかが身動ぎするだけで白濁がぐちゅ、と音を立てまるで動くなと言われている様

ぽーっとアキラを見上げへにゃと顔を綻ばした赤司

何わらってんだよと同じ表情を浮かべ労りのキスを頬へ送る











「やっぱ、コレが1番いい…気持ちいい」

「ーー」

「来年も、もっと先も、こうしていたい…ね?アキラ」










見慣れた笑顔でも心底愛しそうに未来を求めてくる赤司に言葉にできない高揚感でアキラは泣きそうになった

見られない様に汗ばんだ赤司の首筋に額をあて少しだけ震えた声で答える




泣いてなんてねーけどセイジュには泣きそうなのバレたんだろうな。クスクス笑ってやがる













「…こうしていてぇな。セイジュと、ずっと」



















畳の上に新しく脱ぎ捨てられた紋付き袴と着物。弾かれた小箱と口の空いた甘酒の缶が寄り添う様にひっそりと存在し2人を見守っていた










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