黒子のバスケ

□オリオンのままに 25Q
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白い空間にボクが立っていた

それが夢だと何度も見ているからすぐに分かり同時に溜息を大袈裟に吐き自分以外何もいない空間を睨みつける





すると幼い5,6歳の少年2人が現れ距離を置いて向き合っている光景が浮かび出て白い背景は一気に絢爛豪華な飾りつけに変わる。その場所は昔のボクの家だ












忌々しい、そう思ったのが伝わったかのように少年達の形相も険しくなる。自分は関係しておらず2人の関係が最悪に悪いというのも当然、知ってた










藍色の髪と眼を持つ少年が無表情のまま眉を寄せ刺々しい声で向かい合う少年に冷たく言葉を投げつける

年の割に流暢な日本語がでるその少年は藍澤アキラだと、ボクは知っていた















「用も無いのに話しかけるな。迷惑だ」

















本当に可愛げの無い子どもだと嘲笑。過去の自分だというのに客観的に見れば忌々しいとしか思わない。でも自分よりも疎ましいのは…











ちらり


冷たい言葉を投げつけられた赤褐色の髪と眼を持つ少年が憤慨した様子で喰いかかる。ソイツが動いてる事自体気に食わないと思うのは昔も今も変わらない











「お前こそめいわくだ!だいいちなんで“駒”がこの家にいるんだよ母様だって居なければいいって言ってたのに」

「…」

「はん。なにも返せないんだろ」












自慢気に見下ろすソイツの母親とも父親とも似付かない髪と眼を見て嘲笑















「煩いよ“出来損ない”のくせに」




















ソイツは母親の深紅の髪寄りではあったけど父親の藍色を匂わせない赤褐色の色を持って産まれたことに藍澤側のメイドや執事からは父親が違うと何度も聞かされた

DNA鑑定を母親に父親が勧めると癇癪を起こしてうやむやにする行動も噂が広まった原因のひとつ。ボクは知らないけど思い当たる節が何度もあったんじゃないかって今は思ってる













だから父親に認知してもらえない“出来損ない”

















幼い頃そうやって呼んでいたからソイツの名前は覚えていない。覚える気さえ無かったんだと思う


ボクを“駒”とか“道具”って呼ぶソイツだってボクの名前を覚えてないだろう。血縁関係であったことさえ疎ましくソイツに強く当たったが誰も止めはしなかった。互いに親がいない場所で罵り合っていたんだから止められる地位の人がいなかったのも事実だけど











出来損ないと呼べばソイツが眉を吊り上げ顔を真っ赤にしてぎゃんぎゃん騒ぐのを見るのも聞くのも嫌いだった。ぎゃんぎゃん騒ぐソイツとは反対に静かに淡々と言葉で責めるボク達はまさに動と静。一生交わる訳なんて、仲良くなんてないと物心つく前から知っていた












「めざわりなんだよ!」

「お前の存在がな。早く消えろ」

「あかし家に道具が付け入ろうなんておこがましいっ」

「それは出来損ないの母親に全て返ってくる言葉じゃないか。お前と同じ名字なんて気持ち悪くてしょうがない」

「それはこっちのセリフだ!ぼくのセリフをとるなよ」

「ならボクより早く言えばいい話だろう。いつまでも煩い奴だな」

「……」

「……」


















交わす言葉なんて友好的なものなど一切含まず刺々しい言葉の応酬に互いに傷つく程弱い心は持っていなかった。それほど不覚にも日常化したものだったと記憶している


怒りで言葉を紡げ無くなる出来損ないと相手が黙った事で口を閉ざすボクがこの口喧嘩を終える口文句は定めた訳じゃないのにいつのまにか決まっていた












「きもちわるい。あたまよすぎて駒の脳は狂ってるにちがいないな」

「気色悪い。出来損ないがボクの兄なんて心底思えない」

「かいわがかみあってないぞ。ごじまんのあたまをつかえよ」

「噛みあわせる必要性を感じない。舌足らずな喋り方する程幼稚なんだな。本当に年上なのか?」












睨み合い同時に口を開く














「お前なんて」

「おまえなんて」












ソイツとはいつもこの言葉で締めくくりそれぞれの部屋へと向かう





何事も無かったように





…ほんとうにボク等の兄弟仲は最悪だった、最期まで





























「うまれてこなければよかったのに」

「産まれて来なければよかったのに」





































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