黒子のバスケ

□オリオンのままに 16Q
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ピピ―――ッ


3軍のリーダー各の人がホイッスルを鳴らし全員を集合させ今日の練習終了を告げる







ありがとーございましたー






比較的ハードな練習内容にほんのりいい汗をかいたと笑ってるとボクの両足首にピトリと冷たく汗ばむ手が触れきゅうと力を入れるがまったく痛くない



というか犯人は分かってるのでタオルを後ろの倒れ伏すテッちゃんの頭にかけてやる



後ろ向きたいからテッちゃんの両手を外し汗ばむ髪を真上から直視しながらしゃがんだ


すると恨みがましそうな澄み切った水色が酸素不足ながら必死に抗議してくる








「ぜぇ…っはぁ…なんでアキラくん、元気なんですか……、HPバグってるんじゃっごほ!ないですか」

「失礼な。テッちゃんがHPの値が最初からマイナスなだけでしょ」

「…アキラくん。夜道は背後に気を付けてくださいね。僕の手が滑ってしまわないように」

「ひぃッ」








指摘したら黒子らしく夜道で暗殺フラグがたった。本気で実行しそうなテッちゃんを必死で宥めている最中に__









__ガラっ





「なんだぁ?練習終わったばっかかよ」

「見てね―でさっさと帰れよ!!あ、俺たちが終わった後にモップかける1年は残れよ」

「てか1年は全員残ってろよ。2、3年は残ってないでさっさと帰れば?練習したってどうせお前らは上にあがれねーんだからなッ!」





ぎゃはははは










品の無い笑い声が体育館に響き思わず無表情で柄の悪い奴等を見る。テッちゃんも顔を上げ眉を寄せふらふらと起き上がる

ボクのタオルを首に掛けながら柄の悪い奴等の足元を見て不快感を露にして小さく呟く









「…あの人達土足です」

「…」









テッちゃんはルール違反とか人を故意に貶したりケガさせたりだとかそういったのが大嫌いだ

だからアイツ等が大好きなバスケを踏み躙る現状が腹に来てるんだとすぐに分かった…まぁボクもちょっと頂けないなって思ってたから我慢して、なんて言わないよ






そいつ等がコートに入りコートの中央部にいたボク等を見て嫌な笑みを浮かべ近づいてくる












「ああ?なんでお前らコートから出ないんだよ。他の3軍の奴等は怯えて引っ込んでるのによォ」

「お、コイツ振り分けテストで唯一実力見せないで3軍に入った奴じゃね?」

「くそ生意気な帰国子女だってな?前に折角整った顔を潰してやろーと俺達が投げたボールを簡単に往なしやがって」











そこでようやくボクは重たい口を開き首を傾げる









「…どちらさん?ていうか誰?この部外者たち」













あわわとコート外から怯える声が聞こえ隣のテッちゃんから吹き出す声がまた一段と怯える声を大きくさせる


コート外の同級生が震えながら叫び教えてくれる








「ばか、お前その人たちは部活の先輩だぞ!1軍から落ちてきた、…ヒッ!?」






柄の悪い先輩(仮)に睨まれ蛇に睨まれた蛙の様に竦み尻餅をつく。わお、覇気使いかよ






「悪いかよ1軍落ちで。好きで落ちたんじゃねーし」







尖った声と忌まわしそうに歪んだ顔

柄の悪い5人の奴等は皆不服そうな表情を浮かべて床を睨みつける







…落ちたからってサボって練習しないならいくら頑張っても上に上がれるわけ無いでしょ

それくらい分かってるだろ。選手としてやってきたなら







どうせこの場所にきたのはバスケするためだろうに。なら最初から練習に参加すればいいじゃんね





溜息を大袈裟につき肩を竦めると奴等がギッとボクを睨みぎゃんぎゃん騒ぐ









「お前ホント生意気だよな…まるで1軍入りした今年の1年共を見てる様だぜ。天才様は努力しなくても許されるんですーってか」

「…あ?」






いま、誰を貶した


目を細めて凄みを利かせると奴等がじりじりと後退


と同時に膝から強制的にかくんと力が抜け床に膝をつく1人の後ろに無表情のテッちゃんが居た


…そう言えばテッちゃんの特技が膝かっくんだったなぁ。もしかして実行したのかだから後ろにいるのか



それを見て目を瞬かせ無表情ながら少しムッとしてるテッちゃんがボクを見た後膝をつかせた奴に話しかける







「お、お前いつのまに」

「撤回してください」

「はあ?何言っちゃってんのお前。お前も生意気だな!」

「知りません。アキラくんと1軍の同級生に言った言葉全部撤回してください」

「っは!嫌だね。全部事実だろ」

「全部あなた方の妄想でしょう?アキラくんはあなた方の何倍も努力をしてる。それを知りもせずに僕の友達を貶すな!」







テッちゃんの言葉がじんわりと胸に染み渡り浸食していく


彼のまっすぐな心はこうやって歪むボクの心を揺さぶり絆していく


その感覚にまた身を委ねてボクは今日も笑えていることをテッちゃんは知らない。言っても言わなくてもテッちゃんはきっと勘付いているだろうから知らない振りをしてる、が正しいかもね




きれいなボクの神さまに困った様に笑い激情してテッちゃんの胸ぐらを掴む奴の腕を強い力で握り笑って放せと言う

テッちゃんが安心したように息を吐く

まだ放さない手にぎりぎりと力を込めれば痛がる。当然だけどねワザと痛くしてるんだから

仲間?みたいな奴等もボクの手を放させようと引っ張ったりするけど絶対放さない








「い、てェ!くそ!放せよ!」

「やめろよっ俺等はまだ何もしてねーじゃねーか!」

「まだ?じゃ尚更この手は放す訳いかないよね」


ぎりぎり


「っだあああ!くそっ…分かったこれからも何もしねーって約束すっから!」

「はぁ?そんなの信じられないよ。放した瞬間にウソでしたなんてありえそうだし」





周囲の仲間らしい他の4人を見ると視線を逸らす。なんだいつもそうやってきたの



大袈裟に溜息をついてゆっくり力を抜くとバッと僕の手を振り払い患部を押さえ蹲る。他4人も集まり覗きこむようにしゃがむ




解放されたテッちゃんの手を引き奴等から少し離れた所でボクはテッちゃんを窺う







「テッちゃん?ケガしてない?」

「はい。でもアキラくんを巻き込んでしまいました」



しょぼんと頭を下げてるテッちゃんが僕の悶えスイッチをオンにしたのに気付かれバシッと頭を叩かれる

いたい。人間観察が趣味だからこういうところ敏感なんだから〜

ヘラヘラ笑ってるボクの耳にぼそりと脅しが聞こえ背筋がぞくぞくした。だってテッちゃん有言実行者だから…









「僕で悶えた事赤司君に言い付けますよ(ぼそり)」

「やめて。征ちゃんが不機嫌になるでしょ!機嫌損ねると顔ぷいって背けてキスも許してくれないんだから言わないでよ?(ぼそり)」

「なにそれ初耳なんですがッ!!」

「ちょ、声おおきいよ!」













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