黒子のバスケ

□オリオンのままに 3Q
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1時間目が始まるまで残り数分しかないってのにあの『問題児』藍澤アキラが未だ登校していない




最初はどうせ遅刻だろうなんて投げやりな態度で読書だってできていたのに










「…ハァ(何故来ないんだアイツ。まいう棒に釣られて誘拐でもされたのか。顔だけはいいからな)」




ペラリ

白い指先でページをめくるが意識が違う方へ向いてる今まったく頭に入ってこない






「…はぁ(それかまたベッラベッラ言って女に声掛けているのか。大穴で人助けなんてな…)」






一応藍澤には俺のアドレスとかは教えているから何かあれば連絡してくると思うが一向に携帯は震える兆しが無い






本を閉じ携帯で時間を確認

あと2分で予鈴が鳴る









眉を寄せ空白の後ろの席を横目で見た


朝からあの高いテンションとボディタッチに怒らなくていいというのに居心地が悪い

自然と眉を寄せトントンと人差し指で机を叩く。なぜこんなにも落ち着かないんだろう







「あのアホどこで油売ってるんだか…」



俺に連絡もなしにほっつき歩くなんていい度胸だ。学校きたら覚えてろ


今日1日キスハグは全力でさせない。させてやるものか




ひそかに誓った













きーんこーんかーんこーん







「…ハァ」



藍澤の遅刻決定

さっさと連絡よこせよアホ





すぐに担任がきて俺の後ろの席を見て不思議そうに言う





「あれ藍澤くんは?」



生徒一同首を傾げる。俺も傾げてやろうか



「赤司くん何か知らないか」



知ってたならこんなにも俺は怒りに震えてないと思います



知りません。そう言おうと口を開く寸前











ピリリリリリリリ










俺のポケットから着信音が教室中に鳴り響く

クラス中の視線を集める中携帯を取り出しディスプレイに表示された名前を見て口元が引き攣る


きっと今の俺は疲れ切った目をしてる筈だ。名前見るだけで体がどっと疲れた気がする








着信は鳴り続ける


「…先生。藍澤くんからです。でてもいいですか」

「行ってよし(ビシッ)」

「(テニス厨かよ)」






許可を得た。周囲の視線が妙に生温かいのが気に食わないが無視して携帯を耳にあてる







通話ボタンを押した途端_______












「征ちゃーん?!!」





きいいいいいん




思わず顔を顰め甚大な被害をうけた右耳から携帯を遠ざける


…こいつ!






「…死ね」

「生きる!ねぇ征ちゃんボクどうしたらいいんだろうか」

「何度でも死ね。取りあえず学校きたら?」







藍澤やけに声が震えてないか?
また叫ばれても困るしスピーカーにして聞こえる様にしとくとするか




耳から外し机におく

なんだって学校に来るだけでどうしたらいいんだろうなんて問いがでてくるんだ



いじめか?むしろ俺がお前にいじめられてるよ






溜息が尽きない。今日ははじまったばかりだってのにあんまりだ









「…」

「藍澤?無視するなんていい度胸だな」

「…征ちゃんの眼の前に倒れてる人がいるとしたら助ける?」

「あ?」





特に用事がないなら通報して助けを呼ぶかな。それを伝えればどこか納得してない声が聞こえる






…きいてきてその返しは無いだろうに






取りあえず藍澤の前に人が倒れているらしい。それを助けるかどうかで迷って俺に電話したと


連絡先教えたのは間違いだったな。変なことで電話してきやがって



あ、頭痛がしてきた









「 Are you OK ? What's happenning? 」

( 大丈夫? なにがあったの?)



どうやら話しかけてるらしい



??「う…」

「征ちゃん。この人多分ボクらと同じ学校の人だと思うよ。通報したら学校に迷惑かかりそうじゃない?」





ふむ。まぁ正論だな






チラリ

先生の意見を伺おうと視線を向けると頷いてきた


…頷いて伝わると思うなよ。なんの為に言葉があると思うんだ



もう1度溜息をつきながら髪をかき上げる





周囲が息を呑むがいまはそれどころじゃないんだ。変な視線をよこすな










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