■テイルズ■
□ばらのはなし
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「…お姫様は薔薇達の待つ庭へと戻っていきました。めでたし、めでたし」
母上は読んでいた子供用の絵本をぱたんと閉じると、俺に早く寝るようにと言った。
ルークと、俺の名を呼んで。
久しぶりに夢を見た。
子供の頃の、まだ俺が『ルーク』だった頃の夢だ。
詳しい内容は覚えていないが、子供の頃、俺は毎晩寝る前に母上に童話を読んでもらっていた。
その童話はいつも違う話だったが、最後は必ずめでたしめでたしで終わる。
いつも、何故これがめでたしなのかと、疑問に思っていたが、それを口にすることはなかった。
「薔薇の姫…か…」
呟いた言葉が、何故か自分に重くのし掛かっているような、そんな気がした。