■薄桜鬼■

□一陣の風が優しく靡く(近藤←土方)
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『あんたがついていながら、何で近藤さんが投降したんですか!』

『どうして助けなかったんです!?あんたなら、土方さんならできたはずだ!』



思い出すのは、怒りと後悔と焦燥と虚無感と。

まるでこの世の終わりのような、絶望。



『でも…、それでも僕は…、近藤さんに死んで欲しくなかった』



ああ、俺もだよ。

あの人は俺が持っていないものを、生きる意味を、希望を…俺に与えてくれた、唯一の誠の武士だった。

その生き様に本気で惚れ込んだ。

ただの百姓の倅である俺も武士になれるのだと、あの人は俺にそう教えてくれたんだ。



ただ、がむしゃらに足掻いていた。

近藤さんの名を世に広めようと。

あの人を、誰もがその名を知る侍に押し上げることが出来れば、俺達は本物になれる気がしていたんだ。

本物の【武士】に。



 
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