腐ってもLady!
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盛大に……と言う程でもないが、2人しか居ない狭い小屋の静寂を切り裂くくらいの音を立てて空腹を表したその音は、紛れもない紗英のものであった。
『鞄どーも。もしかして中見た?』
コンビニの袋を漁りながら先ほどより距離が近くなった相手に尋ねる。
「…武器がないか確かめるために、な」
『で、見たことも無い物ばかりで驚いたと』
「……」
無言は肯定の証。そう捉えた紗英は、目的の物を取り出すと苦笑を零しながら男に顔を向けた。
『何で知らないものばかりか、知りたい?』
男の肩が僅かに揺れる。表情こそ変化は見られないが、紗英はその動作を見逃さなかった。
「べ、別に…『あたしさぁ、未来から来たんだよ』…は?」
ここに来て初めて目の前の男の表情が崩れた。当たり前だろう。自分の中で疑問だったことの答えが聞けると思ったら、想像していたことの斜め上を行くものだったのだから。
『あたしもまだ半信半疑なんだけどね。ねぇ、ここって何時代?』
「は?む、室町に決まっているだろう」
唐突な質問に、吃りながらも怪訝な視線を送って答える男。
『うん、だと思った。あたしの生きてる時代はね、平成っていうの。ここから何百年も先の世なんだよ』
バリッと開けた袋の中から明日の朝ごはん用にと買っておいたランチ○ックを取り出して、一口食べる。その間、男は目を見開いたまま、驚愕を露わにしていた。