音速の惑星

□You'll be in my Heart
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あたたかい……


久しぶりに感じるこの温もりは…



オレは…… 一体…












「あ……気がついた…?」




……??


傷だらけの男が目を覚ますと

目の前に黄色い仔狐が顔を覗かせていたものだからか、驚いた様子であった



「こ…こ、は……?」


白狐は虚ろな瞳で辺りを見回す


「……ッ! ど、何処だ…此処は…?!
ァグ…ッ!」


しばらく間が空いた瞬間
ガバッと身体を起こして顔を強張らせる
が、直後に身体に痛みが走り苦痛の表情を浮かべる


「無理したらダメだよ…っ!まだ安静にしていないと傷口が開いちゃうよ…?」


「傷口……??」



慌ててテイルスが白狐の身体を支えて、再び毛布を掛けてベッドに寝かせる

テイルスの言葉に白狐は眉を曲げて不思議そうな顔をする


「何があったか覚えてないの…?
雪の積もった路地裏に、傷ついたキミが血を流して倒れていたんだよ
ボクのラボにメディカルマシンがあったから、それでキミを治療してなんとか助かったよ…」


「……!」


その言葉を聞き、自分の身体を改めて見ると
撃たれた腹部には包帯が厚く巻かれており
凍傷になりかけていた手や指先は、お湯で温めてもらったのか テーピングをされ 再び温もりが宿っていた



「…お前が…助けたのか…?」


身体を起こせない白狐は視線をテイルスに向けて問うと
テイルスは頬を掻きながら照れくさそうに笑顔で答える


「医療はボクの専門じゃないから ほとんど機械任せなんだけどね……えへへ…」


「……………」


その言葉に白狐は 礼を言う処か、
「何故?」と言いたげな不貞腐れた表情を浮かべテイルスを睨んだ



「…余計な事……」


「え…?」


「…誰が助けてくれなんて頼んだ…
オレは死を受け入れていたんだ…
死ぬ事を……望んでいたんだ…」


死にかけの自分を助けてくれた恩人と言うべき その少年にそう言い放つ

蔑みたいなら好きにしろ

オレは元来こういう恩知らずなんだよ


そう、心で皮肉を言いながら…


「……そっか…ごめんね。
でも、キミを助ける事が出来て ボクとっても良かったよ!」


こんな事を言われても 困り顔で笑うテイルス
その笑顔に、白狐はますます不貞腐れていく…
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