音速の惑星

□You'll be in my Heart
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今日は年に一度のクリスマス

外では雪がハラハラと降り、ホワイトクリスマスを演出してくれている…


こんな日は何か特別なことがありそう…


クスッ、と静かに微笑んだ後
テイルスはクリスマスパーティーの準備を続けた


その2本の尻尾も楽しそうにフリフリと揺れている


クリスマスは、テイルスにとって一年で一番好きな日だ

親しい仲間や友人、みんなと輪になってパーティーを楽しめる…

考えただけで待ち遠しくて、胸がドキドキ高鳴っていく…


「えへへ…っ あと1時間かぁ…」


ほぼ下準備を終えたテイルスは、そわそわと時計を見て呟き、近くに置いてあったサンタの人形の頭をフワリと撫でる


「ソニックにナックルズにエミー…それに、クリームにシルバーとブレイズ…あとカオティクスのみんなも来るだろうからなぁー
椅子が足りるとイイけどっ」


楽しそうな声色で呟くテイルス

その時、

ふと、眼に止まった鉢植え
中には双葉の芽を伸ばした姿がある

テイルスはその鉢植えを数秒間見つめ
そして、静かに優しく微笑みかけた



「……うん、もちろんキミもね…コスモ…」



そう囁くと、カウンターの上に置かれていた鉢植えを持ち上げ、メインテーブルの上にまで運んだ

鉢植えは大きなケーキや
ご馳走らに囲まれて置かれている…

テイルスは、その鉢植えの双葉を指で優しく撫で、笑いかけてみせた



「キミも一緒に、パーティーを楽しもうっ」



鉢植えにウィンクをして、踵を返す

これで準備は整った……


そう思った瞬間、

大事なモノが抜けていたのを思い出した



「あ…!!いけない…シャンパン忘れてた…
買いにいかなきゃっ」



ハッ、と
それに気づくと、急いで掛け時計を見る


今はスーパーはまだ空いているはず…


テイルスは掛けていたコートに再び袖を通して、かばんを手に外へ飛び出した。


わざわざトルネードを出す程の距離では無い為、
徒歩でサクサクと、雪のシンシン降る道を歩いていく…


(う〜ッ…寒いなぁ…;)


12月の凍てつく冬の寒さ、
息を吐くと白くなる…

クリスマスは好きだが、凍えるくらいの冬は、少し苦手である…

テイルスは急ぎ足で、暖房が利いているであろうスーパーへと向かい、シャンメリーを購入する。


早く帰らないとソニック達が来てしまうかもしれない…

そう、思いつつも…
街に飾られたクリスマスイルミネーションの虹色の輝きに、テイルスの足も速度を、ついつい緩めてしまう…


「わぁ…綺麗だなぁ…」



街の中央に、一際大きく目立つクリスマスツリー


色彩豊かなライトが輝き
ちらちら舞う雪に光が反映される


それはまるで
色の付いた夢の様に……


ツリーの周りには 身体を寄せ合う恋人たち

いずれも皆、幸せそうな顔を浮かべて空を見上げている…


きっと今この人たちは
人生で一番幸せな時間を過ごしてるんだろうな…


なんだか
見ているこっちまで、笑顔になる




それと同時に

胸の奥がギュっと締まった



もしも、ここに


今、ボクの隣に コスモが居たらな




別に 周りへの
嫉妬や妬みとかじゃなくて

単純に 彼女にも、この景色を見せてあげたかったな

って


そう思っただけ




「……あ、いけない…!
早く帰らなきゃ…っ」


ふと我に帰り 走り出すテイルス

急がないと
もうすぐソニック達が来てしまう…

白い息を小刻みに吐きながら帰路を走る


すると 急ぐあまりに
雪で埋もれていた段差につまずいてしまう


「あ……ッ! へぶっ!」

見事に顔からころんでしまい
大の字に倒れこむ



雪がクッションになっていたお陰で痛くは無かったが

雪の積もった地面に、テイルスの身体の跡がくっきりと残る


「うぅ…か、顔が冷た……ッ;」


雪のこびりついた頬をはたき
ぶるぶると顔を振るうテイルス


すると

ふと雪の積もった地面に眼をやると


ある一点に色が付いていた…


近付いて見てみると

赤い色が雪に染みついていた


「これ……もしかして…… 血?」


一瞬自分の出血かと思い、身体や脚を見てみるが
雪が積もっていたおかげで怪我等はしてないはず……


さらにその近くを見ると

その赤い血の跡が、点々と道に添って続いている…


まだ新しい血液…

誰かが怪我や事件に巻き込まれているのかもしれない……



テイルスは帰路を一旦後にして
その血の跡を追う事にした








しばらく歩いていくと
血の量も
薄く、少なくなっていき…


路地裏にまで続いて止まっていた


暗く薄暗いコンクリートに囲まれた狭い通路を進んでいくと

倒れ混んでいる人影を見つけた


「……!!すいませんっ
あのっ 大丈夫ですか…っ!?」


すぐに駆け寄り身体を揺する

腹部には銃弾の様な撃たれた跡があり
そこから出血していた

血の滲んだコートに身を包んだ身体は氷の様に冷たく

だが、口許を覗くと
まだ微かに 息があった


「す…、すぐに手当を……ッ」


ここからだと病院まではかなり遠い

自分のラボに連れていき治療や手当てをしようと

急いでコートの人物を抱えようと
身体を起こしてみる


すると

ふわりと 彼の後ろに
何かが揺れ落ちる




それを見てみた瞬間




「 ―――――…ッッ?! 」




思わずテイルスの眼が見開き

絶句した……



















彼の腰からは




白い尻尾が 二本



揺れていた
















まるで自分の姿と同じ様な

白いキツネが 目の前にいた…



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