生まれ変わる運命

□使いたいネタ
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この気持ちに気が付いたのは彼を殺した後。
あの瞳に、温かさにきっと恋に落ちていた。
夢に見るのは先輩と救った世界。
可能性があるならば、私は彼らのサーヴァントでありたかったと願うほどに。

「あの…」

「いかがいたしましたか、マスター?」

かけられた声に私は思考を止めて窓の外に向けていた視線をマスターへ向ける。

「お風呂入ってきたら?」

「そうします。」

私は自分の手を見て頬を触って彼の血にまみれたままだったと思い出す。
彼の言う通りにシャワーを浴びる。
頭から冷水をかぶっているはずなのに焼き付いたように彼の死に際の顔が思い浮かぶ。
誰かと大切な約束をした。
それはあの旅の終わりだっただろうか。

「さよなら。」

なぜか不意に口をついた言葉がストンと胸に落ちる。
サーヴァントにだって感情はある。
皆それを抑えてなどいなかったじゃないか。
ならば私だって、私らしくあればいい。

「すっきりした?」

そう聞くマスターに投影した刀を突きつける。

「私はプリテンダーですから、裏切ることだってありましょう。」

私が笑って見せればマスターは安堵したように腰を抜かす。

「良かったぁ…」

その言葉に私は刀を振りぬこうとする。
しかしそれを止めたのは彼があんまりにも情けない顔をするから。

「君にはこのままサーヴァントとして動いてもらう。
でも、君は英霊。人類史に刻まれた、かつてありし人の影だ。
その存在は、人類史の存続によって報われる。
だから、好きに動いていいよ。」

その言葉はいつか私のサーヴァントが言った言葉。

「ならば、私はあの男を殺します。」

人理を壊す人間だと本能が告げた男、あの白い悪魔を。
彼は自分の上司を殺すと言われたのにもかかわらず、相変わらず安堵したように顔を緩めていた。



私がもらった城に白蘭の手の者が大量に押し寄せてくる。
私の兵たちが私を見た。
信頼をその瞳に燃やして。

「やってくるのは全て彼の手の者です。
貴方方の手には負えないでしょう。
それでも……撤退は許さん!」

私はその信頼にこたえるためにいつかの彼の言葉を胸に告げる。
少し同様したような彼らの瞳に、それでも信頼が宿っている。

「わずかでも生き延びて私の盾となれ!
であれば、貴様らの命と引き換えにあの首、一つ残らず切り落としてくれる!
その死が無駄にならぬよう、100人が殺されたら200人は殺してやる!」

私の言葉に兵が沸き立つ。
私はその声を背に投影を開始する。

「」


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