生まれ変わる運命

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「来て、私の剣。」

そう言ってももう彼らには届かない。
一瞬反応したように光った魔法陣はすぐにその光を失う。
もうここには誰もいない。
ともに戦った戦友も、ともと呼んでくれた彼も、魔術なんて知りもしないのに年上だからと私を守ろうとした先輩も。

新しい現実はきっと美しく、平凡だろう。
私の守った世界と同じように。

それでも寂しさが胸を埋める。
スリルを求めるわけじゃない。
ただ、もう一度彼らに会いたかった。

私は諦めてその部屋を出ると寝室に向かった。
電気を消して目を閉じる。
瞼の裏に描かれる英霊。
貴方達の声を温もりを、その姿を忘れる前に。

そう願いながら今日も眠りに落ちる。


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