小噺

□とろける熱
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近親相姦、なんて言葉がある。

言わずもがな、近しい身内とのソレなのだが…

人間ならばそういう事はむしろ嫌悪される対象なのだが、どういう訳か鬼の中では当たり前なのが、鬼であるはずの俺には不思議でしょうがない。

…誰か教えて欲しい、それより助けて欲しい。

俺の兄貴がとんでもない変態というか何というか……

「…良いから離せこの変態クソ兄貴がぁ!!」

「…絶対ヤだね…」

離れてくれない、離してくれない、どうしようこの変態。

「…鬼鷹、思考ががら空きだぞ…?」

「…俺の思考がわかんならとっととどきやがれ兄貴」
「やだ」

「……………」
(即答しやがった…)

どういう訳か風呂場の壁際に追いつめられている俺。

ちなみに兄貴は下半身にタオルを巻いているだけの格好、俺は仕事から帰ってきてからそのままなので、ワイシャツにネクタイ、下はズボンなのだ。

ちなみにちなみに言っておくがここは俺の部屋であり、決して兄貴の部屋ではないし、かと言って相部屋でもない。
俺の同部屋に住んでいるのは宵藍であって、決して兄貴ではない。そう、決して。←


どうしてこのような事態に陥ったかというと、その理由は数十分前に遡る………―――


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