に
□とりあえずまずは
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「お、ソヌお疲れ。」
「…。」
「わ…、どうした?」
帰るなりドンウヒョンに抱き着く。最近の俺のお気に入り。ちょっと男前なくまのぬいぐるみ。
「…今日マジで疲れた」
精神的に。
「何事?」
「とある先輩に、シヌゥくんに渡して♡ってアドレス書いたメモもらったりした」
「へぇ…」
誰かは言ってやらない。ってか言いたくねぇ。
「何考えてんだよヒョン」
「いや…、今のソヌの、渡して♡ってとこ可愛かったなって」
「…そんなこと言っても、メモは渡さない。つーか捨てた」
ヒョンの馬鹿。やっぱおっぱいついてるほうがいいのか。
「ひどいやつ、」
「悪かったな」
「妬いたの?」
この鈍感熊。妬かないわけがないってわかんないかな。
「こんな鈍感でのそのそしてんのに、なんでモテっかな、ヒョンは」
「…?」
ムカつくムカつくムカつく。
こんな風に抱き着いて、息が当たるくらいの至近距離で正面からこの顔を見れるのが、俺だけならいいのに。
ずっと、俺ひとりならいいのに。
「…ヒョンちょっと今ここで誓って」
「え?」
「とりあえずでいいから一生俺だけ愛するって誓って」
「とりあえずにしては重い気がするけど…」
「いいから誓って」
「ん…、一生チャ・ソヌだけを、俺の恋人にするよ」
「…!」
やべぇ、心臓バクバクいう。見つめられてる顔も熱いし、ヒョンに握られた手が溶けそう。
こんなこと自然にできちゃうヒョンは絶対、これからも俺を妬かせるんだろ。
「こんな感じで良かった?」
「ヒョンってマジで…浮気もんっつーか、軽いよな」
「え…誓ったのに?」
とんだプレイボーイに惚れちゃったかもしんない、俺。
「やめときゃよかった」
「なんだよ、もう一回やり直せばいいのか?」
「馬鹿っ、もう二度とやんなくていーんだよ!」
あんな心臓に悪いこと、一生に一回で充分だ。
ヒョンも、そんな恥ずかしいことは一生に一回でいい。俺だけに言ったらもういらない。そうだろ?
「なんか、そんなに顔赤くされると嬉しいな。可愛い」
「…ヒョン、とりあえず、そういう落とすワザとか全部忘れてくんない?」
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