□ナルシスト?
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「…うん、かっこいい」


雑誌の取材、なんて。
どこへ行ってもこれといって変わらない質問。こちらも話し慣れたエピソードばかり。ちょっと尾ひれがついてきたかな。
飽き飽きしてうんざりなんだけど、今日のは気に入った。何がって、写真が。演出とかアングルとか、本当にバッチリ。

今はサンドゥルがカメラの前。変な順番なんだ。リーダーの俺からはまぁわかるんだけど、その次にシヌ。そしてなぜかマンネのゴンチャン。
なんでか聞くと、どうやら個人の他にバドゥルの2ショットを入れたいからって。
ああそれなら納得、っていうか、なんだ、面倒じゃない順かと思った。


それで今俺はちょっとみんなと離れて、撮り終えた写真を見せてもらってるんだけど。こうやって見てみると…。

「やっぱりかっこいいんだよな」

「…ジニョンヒョンさっきからそればっかり。ナルシストだ、ナルシスト」

「なんとでも言っとけば」

俺の声が聞こえていたのか、少し離れたバロが口をはさんでくる。こんなとこで油売ってていいのか、次だろ。

「バロヤ!お前、そばで待ってろって!」

「わ…、はーい」

ほら見ろ。


…さあて。邪魔者がいなくなったところで、またじっくり見ようかな。

「何見てるのっ」

「えっ」

うーん…、素晴らしいタイミングだね、コン・チャンシク…。

「ヒョン、俺にも見せて」

「…はい、よく撮れてるよ」

「わ、ほんと」

感情がこもってるのかこもってないのかよくわからないな、口は驚いたように動いたのに目は真剣だ。

「かっこいいだろ、そう思わない?」

「いや、まぁ…でも」

「でも?」

どうしてそんな風に濁すの?誰がどう見たってそこにはイケメンが写ってるっていうのにさ。

「ジニョンヒョン…ずっとこの一枚だけ見てたの?」

「ん?いや、そのへん。もうちょっといくとシヌの写真だからその手前まで」

「へぇ…」

「でもそれが一番かっこよく写ってる」

だろ?ってチャニの顔をうかがうと、またはっきりしない表情。なんだよ、かっこよくないわけがないじゃないか。

「なんていうか、よく言えますね」

「そんな…だって事実なんだから」

「事実…まぁ…」

俺が違うっていったら謙遜になるじゃん。そんなのしたってしょうがないよ。他でもなく、チャニ相手に。


ところで、さっきからずっとさ。

「そんなに可笑しい?」

「えっ、今笑ってました?」

「笑ってました」

いや、にやけてた。もしかしてこんな俺のことを馬鹿にしてる?呆れてるのか?

「ふふ、ごめんなさい」

「…別にいいよ」

可愛く言われて簡単に許しちゃうっていうのは、やっぱり甘いのかな。俺はチャニに甘いって、俺だけじゃないだろ、って思うけど。
まぁ確かに、ちょっとは欲目がね。この子は、俺のチャンシク。だから。


「…チャニは、俺の写真に興味ないの」

これ、拗ねてるとかじゃないんだけど。
俺の写真見てかっこいいって言ってくれないのかなって、なんていうか、ちょっとは期待してたから。

「そういうわけじゃないですよ、ただヒョンの話を聞くのが楽しくて」

「ふーん…」

屈託なく笑う顔に、また許してしまう。

「…とりわけ、僕の話はね。ちゃんと聞いておきたかったし」

「俺が返事求めたって変に濁してばっかだったくせに?」

「照れたんですよ〜、あんまりヒョンがかっこいいって何度も言うから」

チャニは他の自分の写真を適当に見て、それからシヌの写真も一瞥しては飛ばしていった。

「言われ慣れてるじゃないか」

「ジニョンヒョンから聞くのはちがうの…。あ、ほら、ここから、ヒョンの」

「ん…どう?」

やっと行き着いた、俺の写真。注がれてるチャニの視線が照れくさい。

「…かっこいいです、それに、綺麗だ」

「だろ?知ってる」

お前の隣に並ぶのに、申し分ない。

「ははっ、ヒョン、ナルシストだ」

ナルシスト…そういえばバロにも言われたっけ。でも仕方ないよ、事実だ。

「…ねぇ、チャニ」

あれ?いない。あ、いた。

「あの、バロヒョンとサンドゥリヒョンのが終わったら、僕たち二人も撮ってもらえません?」

なにやらチャニがスタッフさんに交渉中。2ショットが撮りたいみたい。…俺も加勢しようかな?

「ジンチャンって…、知りませんか?」

「僕たちです、ジン、チャン!」

B1A4のビジュアルライン、ほら、どっちにも引けをとらない。

誰が見ても、

「…お似合いのカップルでしょ?」


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