に
□ナルシスト?
1ページ/1ページ
「…うん、かっこいい」
雑誌の取材、なんて。
どこへ行ってもこれといって変わらない質問。こちらも話し慣れたエピソードばかり。ちょっと尾ひれがついてきたかな。
飽き飽きしてうんざりなんだけど、今日のは気に入った。何がって、写真が。演出とかアングルとか、本当にバッチリ。
今はサンドゥルがカメラの前。変な順番なんだ。リーダーの俺からはまぁわかるんだけど、その次にシヌ。そしてなぜかマンネのゴンチャン。
なんでか聞くと、どうやら個人の他にバドゥルの2ショットを入れたいからって。
ああそれなら納得、っていうか、なんだ、面倒じゃない順かと思った。
それで今俺はちょっとみんなと離れて、撮り終えた写真を見せてもらってるんだけど。こうやって見てみると…。
「やっぱりかっこいいんだよな」
「…ジニョンヒョンさっきからそればっかり。ナルシストだ、ナルシスト」
「なんとでも言っとけば」
俺の声が聞こえていたのか、少し離れたバロが口をはさんでくる。こんなとこで油売ってていいのか、次だろ。
「バロヤ!お前、そばで待ってろって!」
「わ…、はーい」
ほら見ろ。
…さあて。邪魔者がいなくなったところで、またじっくり見ようかな。
「何見てるのっ」
「えっ」
うーん…、素晴らしいタイミングだね、コン・チャンシク…。
「ヒョン、俺にも見せて」
「…はい、よく撮れてるよ」
「わ、ほんと」
感情がこもってるのかこもってないのかよくわからないな、口は驚いたように動いたのに目は真剣だ。
「かっこいいだろ、そう思わない?」
「いや、まぁ…でも」
「でも?」
どうしてそんな風に濁すの?誰がどう見たってそこにはイケメンが写ってるっていうのにさ。
「ジニョンヒョン…ずっとこの一枚だけ見てたの?」
「ん?いや、そのへん。もうちょっといくとシヌの写真だからその手前まで」
「へぇ…」
「でもそれが一番かっこよく写ってる」
だろ?ってチャニの顔をうかがうと、またはっきりしない表情。なんだよ、かっこよくないわけがないじゃないか。
「なんていうか、よく言えますね」
「そんな…だって事実なんだから」
「事実…まぁ…」
俺が違うっていったら謙遜になるじゃん。そんなのしたってしょうがないよ。他でもなく、チャニ相手に。
ところで、さっきからずっとさ。
「そんなに可笑しい?」
「えっ、今笑ってました?」
「笑ってました」
いや、にやけてた。もしかしてこんな俺のことを馬鹿にしてる?呆れてるのか?
「ふふ、ごめんなさい」
「…別にいいよ」
可愛く言われて簡単に許しちゃうっていうのは、やっぱり甘いのかな。俺はチャニに甘いって、俺だけじゃないだろ、って思うけど。
まぁ確かに、ちょっとは欲目がね。この子は、俺のチャンシク。だから。
「…チャニは、俺の写真に興味ないの」
これ、拗ねてるとかじゃないんだけど。
俺の写真見てかっこいいって言ってくれないのかなって、なんていうか、ちょっとは期待してたから。
「そういうわけじゃないですよ、ただヒョンの話を聞くのが楽しくて」
「ふーん…」
屈託なく笑う顔に、また許してしまう。
「…とりわけ、僕の話はね。ちゃんと聞いておきたかったし」
「俺が返事求めたって変に濁してばっかだったくせに?」
「照れたんですよ〜、あんまりヒョンがかっこいいって何度も言うから」
チャニは他の自分の写真を適当に見て、それからシヌの写真も一瞥しては飛ばしていった。
「言われ慣れてるじゃないか」
「ジニョンヒョンから聞くのはちがうの…。あ、ほら、ここから、ヒョンの」
「ん…どう?」
やっと行き着いた、俺の写真。注がれてるチャニの視線が照れくさい。
「…かっこいいです、それに、綺麗だ」
「だろ?知ってる」
お前の隣に並ぶのに、申し分ない。
「ははっ、ヒョン、ナルシストだ」
ナルシスト…そういえばバロにも言われたっけ。でも仕方ないよ、事実だ。
「…ねぇ、チャニ」
あれ?いない。あ、いた。
「あの、バロヒョンとサンドゥリヒョンのが終わったら、僕たち二人も撮ってもらえません?」
なにやらチャニがスタッフさんに交渉中。2ショットが撮りたいみたい。…俺も加勢しようかな?
「ジンチャンって…、知りませんか?」
「僕たちです、ジン、チャン!」
B1A4のビジュアルライン、ほら、どっちにも引けをとらない。
誰が見ても、
「…お似合いのカップルでしょ?」
_